第4話 ★猫トラ本 ネコ世界の経済と規制
<サイド 城島叶斗(会社員)>
「ネコ科ヒョウ属トラの巻~政治家になるための本~」
第1話を斜め読みし、次の話を読む。次の話も、まだネコ世界か。どれだけ作者ネコの世界が好きなんだ!?などと思いながら、読み進める。
「第2話 ネコ世界の経済と規制~悪貨は良貨を駆逐する~」
『彼の国に住むネコのウェルビーイングの向上を提案した以上、成果を出さないといけないから、先ずは問題点を探る。
ファンタジー小説によく出てくるものにポーションがある。大きな傷をたちまち癒やし命を救う即効性のある薬品という理解で間違いない。私たちは、ネコの神様から紹介されていた、地域で一番の錬金術師のネコと会い、実物を見せて貰ったが、このポーションは現代日本でも到底作り得ない凄い物だった。
ところが、ネコの間では、このポーションの信頼性が著しく低く、信頼性の高い物が流通していなかった。彼の国に住むネコの世界にはポーションという便利な物は存在していたが、鑑定眼や鑑定道具という便利な物は存在していなかった。
ポーションは見た目では、効果が分からない。実際に使ってみたら効果は分かるが、本来高価なポーションは命の危機があるときにしか使わないお守り的な存在であり、安易に使ってみるということができない。
無論、100本を同じ生産者から仕入れて、1本を試してみるなどということはできるだろう。我々日本人は、販売者なら当然、販売する物に責任を持つことを期待するし、そのためにコストをかけることは当然のリスク管理で、そのコストを含めた金額を上乗せして販売していると考える。
しかし、彼の国のネコは、ネコに分類するより人に分類したほうが良いほど優秀なネコ達ではあるが、それでもネコであるが故に買う側も売る側も気まぐれで、一つの場所で販売を続ける、購入を続けるという習慣がない。
このため、販売店が顧客から信頼を得ることで品質を保証するという仕組みがなく、販売側はきまぐれに買い集めた商品を販売するだけで販売物に責任を持つという考えがない。
その結果、品質が悪いが安く作ることのできるポーションが大量に生産され、品質が良いポーションが市場から駆逐されてしまったのである。高い効果のポーションは実在するが、幻の存在になり、そして、品質の悪いポーションをもって旅をするなら、助かる命が失われ不幸になる。
これを是正するには、質の悪いポーションの販売を規制するしかない。国に許可なくポーションの販売をしてはならないルール、つまり日本にある薬事法が必要になる。
これが最初に発見した問題点だった。そして、次に発見した問題点は、これと真逆だった。
どこの鍛冶屋を訪れても、剣の長さが80cmのものしか存在しなかった。先代の勇者ネコが、この長さを使ったとのことで、それがスタンダードになったというのは分かったが、身長の異なるネコが同じ長さの剣を使うのは明らかに不合理だ。
それなのに80cm以外の剣が売られていない。聞くと、80cm以外の鉄剣を販売していることを知られたら投獄されてしまうらしい。剣の販売は80cmに限るとされ、それ以外の物を販売してはならないルールだという。
警察権も行政権も存在していることが分かったのは収穫だったが、そのルールがいつできて、なんのためにあるのかを調べると驚くことが判明した。
判明したのは、100年ほど前にオークという豚の進化したものが現れて、彼の国のネコ達と死闘を繰り広げた歴史があり、その際に武器が不足し、生産効率を高めるために作られたルールだということであった。
確かに当時は、その規制により武器の供給が追いついていき、オークとの死闘を乗り切ることができたのだろうから必要な規制だったのだ。しかし、今となっては必要がないだろう。オークが存在したというのも驚きだが、見直しが100年も行われていないというのが最大の驚きである。
結果、身長の低いネコにとっては手に余り、身長の高いネコにとっては、リーチが不足することになってしまい、そのために旅の途中で不覚を取って命を失うものや征伐できたにもかかわらず害獣を征伐できなかったりということがあったと推察された。
規制が作られるには、それなりの背景があるが、いつまでも見直しが行われなければ、それは害悪になり得る。逆に規制が必要になっているのにそれを行わなければ健全な発展を阻害もする。
規制を適切に行うことは彼の国であっても日本国であっても共通の政治家の仕事であり責務であろう。
張而不弛、文武弗能也。弛而不張、文武弗為也。一張一弛、文武之道也。
これは礼記にある言葉であるが、弓を張ったり緩めたりすることは政に必要な道でもあるとの意である。』
2話まで読み終わったわけだが・・・。
えっと、最後に
ポーションの話とかネコの世界の剣の話をされても知らんがな!というのが普通の感想だろ?みんな騙されていないか??
益々、この本がベストセラーになっている理由が分からん。
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