第3話 ハローワールド

 <サイド 祝田咲>


 ネコの異世界。


 これから、そんな異世界を訪れることになるわけだけど、私たちは、人間のまま異世界に行けるわけではないらしい。


 意識だけをネコの異世界にある体に転移?転生?させ、そこで活動する。時間軸が違うので、こちらの時間はほとんど経過しない。ネコの異世界のネコ?人?は猫人にゃんとと呼ばれている。そんな説明を受けた。


 惑星?はかなり小さいらしい。日本を基につくったのだろう。本州と四国部分が丸っと入った惑星であり、猫人にゃんとは全て本州と四国に住んでいて離島には既に誰も居ないらしい。(九州や北海道はないの!?軽視しているのかと思ったら、そこは神域という考えらしい。)


 日本の本州と四国だけが惑星内にあり、横幅が惑星の7割くらいで、残りは海。関東地方が昼の時には、中国地方は夜であり、関東から東に海を越えていけば、中国地方に行き着く。頭が混乱しそうだ。


地軸はほぼ傾いていないので、夏冬の逆転はないけど紀伊半島の真ん中あたりに赤道があるため、北側は結構寒くなるらしい。


 ネコの神様である猫神様マリン様と交渉した結果、私たちがすることになったミッションは2つ。


 1つ目は、猫人にゃんとをできるだけ多く守る。

 2つ目は、猫人にゃんとのみんなが持続的に発展できるようにする。


 現代知識チートで文明開化を求められると思っていたら、そういうのは要らないらしい。持続的な発展のための制度やらを作って欲しいらしい。制度も現代知識チートなんだけど、それはそれ。


 TSも悪くはないけど、今回は、そのまま女子。次はオジサンに入る予定だから、今のうちに女の子を楽しみ、和にぃかずにいに女性として意識してもらおう。


 <サイド 祝田和馬>

 モフモフだ!!!!触っていい!良いよな!?


 第1異世界人発見!の際の偽らざる感想である。とはいえ、第1異世界人は、一緒に転生している咲である。できるわけがなかったし、態度に出せるはずもない。


 身長100cm~120cm。女性?牝?の方が大きい猫人にゃんとが多い。二本足歩行、手は5本指で肉球はなくなっている。で、足には肉球があり、寿命は人間の半分ほどである。


 テレビがあり、家庭に普及しているわけではないが、パソコンっぽいものもある。

 

 両手両足に衣装はないが、膝上のキュロットスカートやズボンを穿いて、半そでのシャツというのが一般的なスタイルで、四季もないので、常にこの格好である。


 街から出て、外を歩く猫人にゃんとは、背中に剣を背負い。胸当てを付ける。機動力重視の戦闘スタイルで、飛び道具は弓があるが、魔法が主流である。


 ただ、遠距離に攻撃すると、そんなに威力は高くない。


 実用的な魔法は、火をつけて、火を放つといったもの。回復できる魔法も伝説上存在するが、できる人は100年前に居たとかそういう貴重な存在だ。自分たちは、その貴重な存在だったりもするが。そして、筋力も鍛えられており、身長も馬鹿でかく140cmもあり、必然的に戦闘力も高いので猫人にゃんとでは抜きんでている。


 猫神様マリン様曰く、「猫人にゃんとである範囲内で最も強い力を与えた」だそうだ。経験の差により実戦では自分たちよりも現時点で強い猫人にゃんともいないわけではないだろうが、片手で数えられる範囲で、自分たちが世界最強の猫人にゃんとの一角だと思われる。


 とはいえ、猫神様マリン様から討伐対象として指定されたリザードマンは、身長130cm~150cmで手も猫人にゃんとより遥かに長いことから、刀を振るうリーチが長く、集団戦も得意な相手だ。魔法は使えないが、集団で猫人にゃんとを襲い、単体でも一般的な猫人にゃんとよりやや強い。


 自分たちはチートだが、それでも1人で剣を振るうなら5匹のリザードマンと戦うのが精一杯だ。魔法を長距離から時間をかけて作り上げれば、10匹くらいは相手できるが、魔力の総量があるので、50匹を超えるリザードマンが来たら咲と二人でも手に余るだろう。


 概ね、猫神様マリン様から聞いていた事前情報と合致している。


 これが転生初日、街を歩いてから、近場の海辺に居座っていた野良リザードマン20匹とそのリザードマンとともに悪事に手を染めていた猫人にゃんと2人を討伐して得た情報だった。

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