第39話イベント詳細②

「アイリぢゃんーーー!」

「…。」

俺は今、未来ねぇに抱きつかれている。



「未来、アイリも帰ってきたばかりで疲れているじゃろ。休ませてやるんじゃ」

爺さんが俺を気遣い、そう言う。



「うぅ~。でも…」

「未来ねぇ。お風呂入りたい」



「ぐすっ…わがった」


俺はダンジョンで、汗もかいたし汚れているため、今すぐお風呂に入りたかった。俺は直ぐに脱衣所に向かう。




「これ、破けちゃった」

ボロボロな装備を見て、俺は未来ねぇに何と言い訳しようかと思った。これ、結構着心地もいいし気にいっているんだけど思いながら丁寧にたたみ、篭の中に置く。



そして俺は鏡を見てうすらと肩口に削跡が残っているのを見る。


俺は傷跡をなぞり、あれは夢ではなかったんだなと実感した。





「はぁぁぁぁーーーー」

俺はお風呂につかりながら大きなため息を漏らす。俺は堀川総理に頼まれたことについて考えながら目をつぶる。




_____________________



「そして我々は、2週間後にハンターに所属するプレイヤーに対して実力測定を行うことを決定した」

「…。」



「それに伴い、リリーさんは実力測定に立ち会ってもらい、我々が絞った選手候補で選手決めをしてもらう」

当然の権利だと思う。戦争にはリリーの身柄がかかっているのだから。



「分かりましたわ」

「他に要望があれば聞いときたいのだが何かあるだろうか」



「…わたくしは日本選手としてライアンを監督に推薦しますわ」


!?


「それがリリー選手の望みなら日本もライアンハンターを選手として任命しようじゃないか」

と、にこやかに堀川総理も同意しているが…



「無許可」


「ライアン申し訳ありませんがわたくしは、あなたを巻き込みます。わたくしが強くなれたのはライアンのおかげだから」


「まだ、全然弱い」


「ふふっ、そうですわね。なら、わたくしをもっと強くしてくだいさいまし。わたくしはこの戦いで…」



リリーは立ち上がり、俺に指を指す。



「リリーナ・シャトレーゼとの因縁に決着をつけますわ」






チャポーン

「はぁぁぁぁーーー。結局引き受けてしまった」


俺はリリーが運命に打ち勝つ姿を見てみたいと思ってしまったからか。



それに監督になる条件も二つきちんと決めたしいいか。一つは俺が本名を公開しないことだ。


もう、注目されるのはこりごりだけど、本名や家がばれたら面倒なことになるからな。



そしてもう一つの条件は俺も選手候補の実力測定に立ち会わせること。それが、条件だ。



「そう言えば、きちんとイベント詳細見てない…」

俺はステータスを開き、お知らせのイベント詳細を見る。




ふむふむ。簡潔にまとめると…


このイベントはシステムによって選手は死傷が出ないように結界が張っており、結界が割れたら観戦スペースに転移させられる設定だ。そして場所は仮想空間で行われ、敵陣地のクリスタを破壊目的とした競技とされている。参加者は国の代表15人とされるが、召喚獣も参加者人数に入るから注意が必要と。



これは、サモナーを選手として組み入れる国は少ないと思われる。



それと、ポーションの使用は禁止されているので競技時間は短縮され、アイテムゲーにはならないだろう。




試合の観戦は、プレイヤーはシステムが用意した戦闘不可の交流スペースで観戦できるらしい。そして、職業が料理人となっているプレイヤーはその空間で一人一つの屋台を設置可能となっている。交流空間では、仮言語学のスキルが常時発動しており、他国の言語を理解可能となっているらしい。



もちろん、プレイヤーじゃない民間人も現実世界の空にスクリーンが展開されるため、見ることが可能となっているので誰でも観戦を楽しめる。



この戦争イベントの期間だけ、仕事など休む人続出しそうだな。





それにしてもシステムはなぜこのようなイベントを発生させたのだろうか?


プレイヤー同士で争わせるため?いや、それなら仮言語スキルをプレイヤーに授けてまで交流を進めるのは進めるのは違うと思われる。



俺は今までシステムを勘違いしてた。システムはモンスターを倒すと発現するため悪いイメージがついていたが、よく考えるとシステムの力のおかげでモンスターに対抗できている。



システムは人類救済処置なんじゃないかと俺は思う。



世界を巻き込んで交流戦を行うのは、何のためか…それは国同士が協力して立ち向かわなくてはならない災害があるのではないか俺はそう考える。



ぼーー。


いろんなこと考えてたら、少しのぼせたみたいだ。そろそろ風呂から出るか。


俺はお風呂を出て、脱衣所で着替えていると…。




ガラーーー。



「えっ」

扉を開けた先には胴着を着た汗びっしょりなラグーがいるではないか。




「な、ななんでお前がいる!?」

「ここ家」


「!?」

「それより、いつまで見ている?」


「ぎゃーーーーー」


ドンっ!


ラグはこの場を目をつぶり走りさろうとするが、目をつぶっていため勢いよく後ろの壁にぶつかり、倒れた。



俺はバスタオルを巻いて、ラグーに近寄りラグーの頬をつんつんするが反応がない。



「気絶してる」






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