第32話サバイバル
「はぁ、はぁ。これ本当に倒せますの?」
俺はリリーがなんとかミミックを破壊しようとしている様をみながら、前髪に課された課題をこなしていく。
「倒せる」
「これ効率悪くないですの?もうかれこれ、数時間はここに縛り付けられますし」
リリーの言う通り短い時間で、花畑のモンスターを倒したほうが効率がいいと思うだろう。
「倒す」
「わ、分かりましたわ」
ー数時間後ー
「やっと倒せましたわ。ん?これは?」
そう言って、灰の中から薄い緑色の液体が入った瓶のHPポーション二つを摘まみだす。
「HPポーション」
「これを手に入れるだけにわたくし何時間も攻撃し続けましたの?なんかしょぼ…」
「リリー、ステータス見る」
俺がそう言うとリリーはステータスを見て、驚く。
「れ、レベルが3上がってますの。それにわたくしのルーが進化可能になっておりますわ」
あの白い鳥のモンスターにそんな名前つけているのか。
「進化先」
「一つしかありませんの」
「そう」
リリーは何かを操作すると、白い鳥はまぶゆい光を発する。
ん?
「これ、本当に進化しましたの?」
そうなのだ。この鳥少しだけ大きくなっただけなのだ。
「したんじゃない?」
それからというもの俺たちは3個の宝箱を見つけ、そのうち一つからは不気味な藁人形が出た。
「趣味の悪い人形ですわ」
「効果はいい」
藁人形の効果は状態効果および、命の危険がある怪我などを肩代わりしてくる品物だ。なぜ、こんなに宝箱やいいアイテムをゲット出来ているのは白い鳥のおかげだ。
白い鳥が進化して幸運というスキルを手に入れたため、宝箱の遭遇率が上がった。
すると、スライムもLv.20になったそうで進化可能になった。スライムを進化させると水魔法を覚えたので、これで条件は整ったらだろう。
そう思い、俺はリュックをあさりながら、携帯食料やHPポーション、藁人形、短剣を小さいリュックに入れてそれをリリーに投げ渡す。
「えっと、なんですのこれ?」
俺はその質問には答えず自分が伝えたい内容を言葉に発する。
「リリー、一人で5日間サバイバル」
「う、うそですよね」
俺は口角を上がるのを感じながら言う。
「嘘ついたことない」
___________
「あのくそたっれかめぇんんんーーー!!」
口が悪くなっていることを自覚しながらここにはもういない鬼仮面の野郎に文句を言う。
わたくしは今、巨大のミミズのようなものに追いかけられている。ポチ、ウルフ型の召喚獣の背に乗って木々を縫って逃げているが全然振り切れない。
「なーにが!!魔法でわたくしの防御力を上げるから存分に攻撃を受けていいですって!」
モンスターの攻撃を受けると体の内部に衝撃が響いて死ぬほど痛いったらあらしない。痛みにうずくまっているとまた痛みが襲いますので痛みに耐えながら動かなくてはいけないですの。
ポチが花畑の場所を感知できるから蔦の化け物には出会っていませんが、このままでは死ぬかもしれないですわ。
わたくしはポチに騎乗しながら、ミミズのモンスターに向けて速度低下の魔法をありったけかけ、なんとか逃げることに成功した。
「はぁはぁここまで来たのなら、もう大丈夫よね?」
「ワフッ」
「ポチのおかげで何とか逃げ切ることができましたわ。感謝します」
「ワンッ」
わたくしはがんばってくれたポチを撫でまわしながら生き残るためにはどうすればいいか必死に考える。
「あら?この木…」
わたくしは木の幹が割れ、中が空洞になっている木を発見する。
「ギリギリ、わたくしが入れますわ」
そう思い木の中に入り、地べたに這いつくばる。そして、木の入口を草や枯葉で隠す。ここなら、安心ですわ。
「安心したら眠気が…」
「ガーーーー」
「gy-ーーー」
「ひっ」
わたくしはモンスターの唸り声に目を覚ます。
「今、も、モンスターの唸り声が…」
近くでモンスターが通りかかったので、わたくしは出来る限り息を殺し通り過ぎるのを待つ。
どれだけ経たのだろう。もう、あの人から貰った食料は尽きた。今はスライムのライムが生み出す水で空腹を満たしているのが現状だ。
このまま死ぬの?
こんなみじめな姿で死にたくない。そう思い、外に出ようと体を動かそうとするのに体がそれを拒否する。
「生きだい」
わたしくしは涙を流す。すると、呼んでもないのルーが現れるではないか。
そういえば、召喚したままだったなと思った。
「ルー。飛んで…」
わたくしがそう言うとルーは外に出て大空に向かって飛ぶ。
わたくしはルーと視覚共有をし、外の景色を見る。
なんて自由なんだろう。ルーと視界共有している間はなにものにも縛られずわたくしは自由だ。
そうしているとわたしくはそれを目にする。りんごのような木の実を。
ルーはわたくしが指示していないのに木の実をくちばしで加え、わたくしに木の実を届ける。まるでわたくしに生きろと言っているみたいだった。
わたくしはそれを口にするが、それはとても食べられたものではない。食べるだけで手や足がしびれるし、血を吐いてしまう。それでもわたくしは回復魔法を使い食べ続ける。
ルーはわたくしが勢いよくがむしゃらに食べている姿を見て、喜んでくれたと思ったのだろう。それからというものルーはあの人が現れるまでわたくしに木の実を届け続けた。
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