第7話ゴブリンの巣



「あぁやっぱり、あったな」

そう言いながら俺は洞窟を見る。



先ほど逃げていったゴブリンがこの洞窟に入っていたのを俺は確認し、ここがあいつのねぐらだと予想する。俺が殺さず泳がしたのは逃げたゴブリンが自分の巣に戻り、その巣の親分に報告するだろうと思ったからだ。



まぁ、ただ死にたくなくてとった行動だろうと思うけど。



「ただ、面倒なところに逃げ込みやがったな」


洞窟では長物は狭く振り回しづらいし、何より洞窟が複雑の迷路となっていると迷子になりやすい。



挟み撃ちにされることも視野に入れないとなと思った。



「はぁー」

放置すると増殖するから行くしかない…気が進まないな。



俺は光魔法のライトを使い、洞窟に入っていく。俺のライトは適性のおかげか、有り余る魔力のおかげか分からんがテレビやYouTubeで披露されたライトよりも大きく眩しいので10m先まで、この暗い洞窟の中を見渡せる。



数十分後。

まただ。また分かれ道か。



アイリスの記憶力がなければ帰り道すらあやふやになっていただろう。俺はアイリスのハイスペックさに恐れを抱きながら感謝をする。



敵の位置は洞窟に入ってからなんとなく把握している。俺のスキル感知で強そうなオーラを放っている方の道を選び進んでいるという感じだ。



それが正解のようにだんだんゴブリンが襲ってくる回数が増えていくので、俺はそれを全滅させる。挟み撃ちにされたら面倒などで、一匹も取り逃がさない。



そうこうしているうちに強そうなオーラを放っている部屋の前に到達する。階層主の部屋でもないの扉があるので、こういうところには宝箱がある確率があると俺は思っている。



そうするとこの先にいるゴブリンは宝を守る番人か。そうじゃないと、この洞窟にいたゴブリンの量に説明はつかない。



俺は覚悟を決めて扉を開けると、開けた扉の隙間を狙って矢がせまってくる。それを俺は刀で弾いた。



「おうおう、大した歓迎ぶりだな」



感知で部屋にいる数と強さが分かっていても壮観だなと思う。



なんせ、11階層ではありえないゴブリンジャネラルがいるんだから。その周りにもゴブリンシャーマンやアーチャー、ファイターのパーティー編成だ。



この構成は18階層辺りには見るようになるが11階層では、絶対にありえないパーティーだ。



「これはイレギュラーなのか、スタンビード前の予兆なのは分からんが、こいつらを倒して報告したほうがいいな」



そう思っていると、ゴブリンシャーマンの火球とアーチャーの矢が飛んできたので思考を切り替える。



シャーマンの魔法は無視してアーチャーの矢の追撃を叩き切って前に歩きながら進んでいく。アーチャーの攻撃は攻撃予測と感知の修行なるからいい機会だなと思いながら。



「ゲゲッッ?」


シャーマンはなぜ自分の攻撃があたっているはずなのに効いてないんだと困惑している様子だ。ゴブリンジャネラルは動く様子がないため、ゴブリンジャネラルを相手にする前に雑魚処理をするかと思った。



ゴブリンたちの位置取りは、ゴブリンジャネラルが奥にいて背中に何かを隠しているので、ジャネラルは一旦無視する。


俺に近い位置にいるのゴブリンファイター、アーチャーなどでそこから始末していくことにした。



一瞬で俺が始末すると戦意を失ったシャーマンが倒れこみ、ジャネラルに何か懇願している様子だがシャーマンはジャネラルの剣に切られて絶命する。



「仲間を切った…」


ゴブリン同士の争いごとに一切興味がないが要らなくなった駒を捨てる様は気に食わない。そう思い、ゴブリンジャネラルとの戦いに挑む。



ジャネラルは大剣を得物として持っているため大振りの攻撃をしてくる。俺はジャネラルに向かってゆくっりと走り出した。すると、ジャネラルはその行動に釣られて大剣を振り上げるではないか。



そのことにジェネラルは俺の動きをとらえたと思ったんだろう。だが、俺の最高速度はもっと早いと思いながら加速する。瞬く間にジャネラルの懐に入り、俺は縦にゴブリンジャネラル切り裂いていく。



「終わりだ」


後ろを振り返ると灰と魔石だけが残っていた。ジャネラルの魔石はそこらへんのゴブリンの魔石より透明で大きかった。



まぁ、倒した報酬はそれだけではなかったがジャネラルの大きな体格で隠していたのは俺が予測した通り宝箱だった。



俺はさっそく宝箱に近づき開けようと触れた瞬間…

すぐさま振り返り刀でその空間を切る。すると、切った手ごたえが感じるとともに「ゲゲッ」と言う声とともに灰と魔石と短剣がその場に残る。



「どんだけこの宝箱に触らせたくないんだよ」

さっき切ったのはゴブリンアサシンと言って隠密にたけており、戦闘中も俺のすきを狙って襲い掛かろうとしていた。



「宝箱で油断させてやろうなんて狡いな」


これで宝箱もミミックの場合、俺はキレる自信がある。ここまでの道のり1時間ちょいかかって大変だったんだからな。まぁ、感知はこの宝箱はモンスターではないと反応しているけど。



パカッ。

「どれどれ。ん?仮面だ」


それも、口の部分は隠れてなくて、目元の部分だけ隠れている黒を基調とした青いラインが入った片角の鬼の仮面だ。いわゆるハーフマスクと言ったところか。



「効果はっと」

→認識阻害



「うーん。地味な効果だけどいいな」


他のダンジョンに行くとき、人と遭遇する確率があるからこれをつけていれば安心だ。それに目元もちゃんと空いていて視界を狭めないから戦闘中も付けられる。



「それにしてもこのダンジョンも生態系がめちゃくちゃになったな」



スタンピードやイレギュラーをハンター協会に報告するだけでお金はもらえるが、俺には必要ないものだ。だけど、報告しないと市民に害が及ぶ。



俺みたいに家族を失う悲しみを増やすのは少しイヤだなと思いながら、めんどくさいが報告することにした。



爺さんに。

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