第27話社長秘書side
うちの
しかも再婚相手があの早川陽向だもん。最悪。仕事は出来るんだけどねぇ。ただちょっと空気を読めないって言うか、無神経って言うか……。とにかく女子社員のウケはあんまり良くないのよねぇ。良くないって言えば社長もなんだけど……。
「ねぇねぇ、聞いた?早川さんが社長と結婚した話」
「勿論」
「愛人から本妻になるなんてねぇ」
「今度、社長夫人として挨拶に来るって言うじゃない。勘弁してほしいよね」
「ホント。早川さんと社長の関係なんてこっちはとっくの昔に知ってるって」
「あれだけ会社で盛ってたらねぇ」
「風紀が乱れるとは言わないけどさぁ。TPOってものがあるでしょうに」
休憩室から聞こえてくる女子社員達の会話には一切の遠慮がなかった。
恐らく彼女達もアレを見た事は容易に想像できた。
せめて社長室だけでしておけばここまで周知される事もなかったのに。
はぁ……頭が痛い。
相手が社長でなければ解雇通知を渡される案件よね。
勤務中だというのに。
あんなものを見せられて。見た方が堪ったものじゃないわ。
「私さぁ、資料室で見ちゃったんだよね」
「え?私、深夜の営業部だよ」
「なんで深夜に会社にいるのよ。それに何んで営業部なのかな~~、ミカちゃん」
「そ、それは……」
「ミカは、営業部の森君と付き合ってるんだもんね!」
「ぅ~~~~…………」
「あ!それで」
「そうそう、彼氏を迎えに行ったんでしょう?」
「あー、その時に見たんだ」
「て、事はさぁ。森君も見ちゃった口?」
「ぅ~~……。森君、慣れた様子だったから……たぶん。営業部だと暗黙の了解になってるみたいだった」
「うわっ!」
「それはキツイ!」
知らなかった事実が発覚してしまった。
これ……猥褻行為で訴えられないかしら?
営業部の者達が訴えたら負けるわ。社長……。そもそも、どうして会社でそういう行為をするの!帰ってからすればいいでしょう!!ここは仕事をする場所!!!
「営業部。気の毒過ぎる。可哀想に……」
「う~~ん。そうでもないかも?」
「どういうこと?ミカちゃん」
「……二人の行為を見てヤル気になる人が一定数いるんだって…………言ってた」
「「……」」
「なんか興奮するって……」
「「…………」」
「多分、
「「………………」」
「今じゃあ、二人がそういう雰囲気になりやすいようにしてるって……。それで隠れて見てるって……ワザと音を響かせたりして焦った二人の姿が堪らないって……」
「……うちの会社、大丈夫かな」
「…………んー、分かんない……」
「……そんなんが社長夫妻か……終わってない?この会社」
「「……」」
女子社員達が休憩室で大きな溜息をついたのが分かった。
そしてそれは、その場に居た全員の気持ちを表しているとも言えた。
どれだけの人数が社長たちの濡れ場を目撃したのだろう。
ハァ……。
彼女達の話からすると相当の人数が見ていると考えて間違いないわね。
この分じゃ、誰かが撮影していてもおかしくないわ。
ハァ……。
最近、溜息が増えた原因は間違いなく社長だった。
秘書の仕事はやりがいもあって良いんだけど……。
この会社も好きなんだけど……。
本当に、どうしてこうなったのかしら?
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