第30話 バレる?

 通学復活1日めは、6時間目が終わったところで力尽きてしまった。早く帰りたいのだが、帰る体力がない。すずかが心配してくれた。

「ちょっと休んでから帰ろ。荷物持つから、一緒に帰ろ」

 すずかにジュースを買ってきてもらって、飲みながら一休み。すこしマシになったところで、学校を出た。

「すずか、ごめんね。私、迷惑かけてばっかり」

「謝らないでよ。私はももかが心配なだけ」

「ありがと。綾にも謝るなって言われた」

「友達だもん、そりゃそうだよ」


 生前、ぼっちで根暗だった俺は泣けてくる。


『コウイチやめてよ。コウイチの感情が、私にまで影響するんだからね』

 はいはい。

 

 すずかが言葉を続けた。

「それにしてもももかさ、勉強できるよね」

「そう?}

「お昼の綾の宿題だって、先生か?って思えるほど上手に教えてたよ」

「照れるな」

「前、脳内家庭教師って言ってたよね」

「うん」


 ちょっとあせる。

 

「もしかして、コウイチ先生の魂が、ももかに乗り移ってたりして」


 本気で焦った。

 

「え、いや、あ、そんなこと、ないよ」

「なにキョドってんのよ。冗談よ、冗談」

「ハハハハハ」


 駅についた。

「ももか、家まで一緒に行くよ」

「ありがと。でも、多分大丈夫」

「無理してない?」

「無理してない」

 実のところ無理をしているのだが、なんだか会話をつづけるとバレそうな気がする。ということで駅で反対方向に帰るすずかと別れ、電車に乗った。電車の窓から、向かいのホームのすずかに手を振った。すずかも手を振り返してくれた。かわいい。

 

『コラ、コウイチ』

 いいじゃないか、かわいく思ったって。

『そうだけど、なんかヤ』

 まあ機嫌直せよ。とにかく家につかないと。

『そうね』

 それよりも、すずか、なかなか勘がするどいな。

『付き合い永いから、私の学力もわかってるしね』

 どうするよ。

『どうもしない』

 ばれたら?

『ばれない』

 なぜ?

『だって、証明しようがないもの』

 そうだけど。

 

 いまいち納得できないが、この体の主であるももかがそうするならば、しかたがない。

 

『でもさ、コウイチの能力は利用させてもらうよ』

 能力って?

『学力』

 進学のためか?

『そう』

 協力するよ。

『ありがと。だから帰って一休みしたらまた勉強する』

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