筋肉系ドアマット主人公 ダンジョンと青春がある!

 レビューになってないのではないか、と悩みましたが、物凄く書きたいと思いましたので書かせていただきます。
これは私の感想ですので、この小説を読んでいただくのが一番確実です、と先に申し上げておきます。


 まず心情描写が丁寧で、小説としての良さと申しますか、利点というものがきちんと活かされている、というのが最初の部分を読んだ感想でした。

 主人公の容姿や個性も独特のものがあり、平凡からは大きくかけ離れているものの、魅力的な人物像ではないかと思います。


 最新話まで読ませていただきまして、どうしてこの評価なのだろうなと不思議に思ったのですが、恐らくこういうことだろうなという気付きはありました。


 まず、主人公の少年はが肉体的にも精神的にも頑強で、現代の中学生からはかなり逸脱しているのですが、かなりのドアマット主人公であります。
 カクヨム界隈ですと、かなり凄いと思われる作品でも、主人公がストーリーの都合上痛め付けられ過ぎる作品は敬遠されがちな印象があります。
 主人公は精神的にかなり殴られており、こういうのが苦手な人は多いのかなと感じた次第です。


 次にこの作品の構成ですが、主人公は家族を亡くしたつらさを背負いつつ、学校や筋トレジムといった日常と、自宅の庭に出現したダンジョンを往き来することで話が進みます。

 日常パートでは同級生との関係性が丁寧に描かれ、主人公の現状もすんなり過ぎるくらいに頭に入ってきます。良い感じの青春もやりますし、恋愛ドラマでやって、ダンジョン無しでも良いのではないかという印象です。

 一方のダンジョンパートでは、逆に不思議な現象が巧みに描かれ、主人公のフィジカルの強さや用意周到な部分が強調され、心情描写はリアリティもあります。

 ですが、このダンジョンパートの方は非常に地味な印象を受けます。冒険してますというような内容になっていない、という読者の方は多いと思われます。

 現代社会とダンジョンのドロップ品のすり合わせをどうしようか、既存の作品との差別化をどうしようかという事も、おそらくですが作品を書くうえで悩まれたと思います。
 それでもダンジョンパートは地味過ぎであると感じられるため、新しい能力やアイテムの獲得や敵の種類を増やすなどして、盛っても良かったのではと感じました。
 ダンジョンパートは、日常パートともっと解離させた方が、息抜きを入れると言いますか、雰囲気に変化を与えられると思いました。

 主人公がつらい時には、それを読んでいる読者にもある程度のストレスがかかっている、というのが私の気付きです。それが連続し過ぎる場合、それはある種のイラつきなどになってしまうのではないでしょうか。

 以上が、この作品の現時点での評価に関して、私が思うところであります。

 繰り返しになりますが、これは私の感想でしかありません。読者の皆様はこのレビューを読まれたとしても、一度、この作品をお読みいただきたいと、そう思います。

その他のおすすめレビュー

お前の水夫さんの他のおすすめレビュー673