第22話 買い物済ませてまた異世界に

 買い物を済ませて帰宅してからは、ひとまず売り物のゲームのアップロード作業などを終わらせ、過去作の売り上げチェックなどもした。


 ありがたいことに俺の作品は相変わらずランキング上位にいる。


 クレカで結構買い物をしたけど、新作もあるし、これでなんとかなるな。

 なんとなくSNSもしばしチェック。


 ……後はお土産を持って異世界に帰るか。

 と、その前に風呂に入って、風呂の掃除して……。

 うーん、風呂掃除が怠いからスーパー銭湯でも行くかな。


 さっきSNSをチェックしたらちょうど今は近くの大きい銭湯で人気アイドルアニメのコラボをしてるみたいだったし、指定の食べ物の注文でグッズも貰えるからいいかもな。


 俺は風呂掃除も面倒なので近くの銭湯に行った。

 するとたまたまイベントで知り合ったオタクサークル仲間の男が来ていた。 

 彼のペンネームは猿助でエロ同人誌を出している。

 ちなみに本名は知らない。



「こんばんは、猿助さん」

「ばんわ、エスタさん、コラボグッズ目当てでござるか?」

 

 俺のペンネームがエスタだ。

 翔太の頭文字Sと太をくっつけてカタカナにしてるだけである。



 相変わらずこの人は今やオタクでも絶滅危惧種みたいな特殊な喋り方をするが、俺はキャラが立っているとみなしてる。



「それもあるけど風呂掃除が怠くて」

「あー、なるほどでござるな。ちな、エスタ氏はどの娘のコースター狙いでござるか?」


「ピンク、俺はロングヘアキャラが好きなんだよな」

「流石一番人気ですなぁ、拙者はオカッパちゃん」

「なるほど」



 オカッパちゃんは、この手の濃いオタクに人気がある。



 そんな会話をしつつ、コラボ飯を食ってグッズを貰い、お互いの推しのコースターをたまたま引いたので交換した。



「くくく、これは僥倖でござった」

「俺も交換できる相手が目の前にいて良かったよ」


 オタク仲間とオタクトークをして、その後、ゆっくりと広い風呂に入って、フルーツ牛乳を数本買って魔法の鞄に入れてから帰宅した。

 

 何時頃向こうに帰ろうかな?


 しかし夜になってジェラルドの森の中の家を目指すのはやや辛いな、森は暗いと怖いし。


 また一晩寝て早朝にでも押し入れから異世界に行くかな?

 早朝なら人目を避けて大樹から移動出来そうだし。


 俺は早寝をして、自分のベッドでアラームをセットし、朝の四時半くらいまで寝てから起きた。


 年寄り並みに早起きはわりと得意なんだ。

 コンビニで買っておいた明太子おにぎりを一つ食べてお茶を飲み、四十分くらいで出かける支度をした。


 朝の五時を少し過ぎて魔法の鞄を抱え、俺はまた押し入れをくぐり、異世界に到着!


 既に朝日は出ている。

 朝の清浄な空気の中を、森に向かって歩いた。

 鳥の声囀る森の中をしばらく歩くと、木の家の庭の菜園が見えた。

 ジェラルドがいた!



「おーい! ジェラルド! おはよう!」

「おかえり、ショータ」



 ジェラルドにおかえりと言われてなんかくすぐったく感じるけど、とても嬉しい。



「ただいま! 菜園でなんか育ってるな」


 ジェラルドの足元の畑で小さな野菜らしきものが育っていた。



「ああ、野菜の若葉を間引いてた」 

「ベビーリーフだな、サラダに使える」

「使っていいぞ」

「ありがとう、ジェラルドは朝食は食べたのか?」

「今からだ」

「じゃあサラダを作るよ、あとは買ってきたパンとスープで、俺はおにぎりを食べてきたからサラダとスープだけいただく」


「あ、ショータが帰って来たってあの狐に知らせないとな、ほっとくと多分拗ねるから」



 ジェラルドはズボンのポケットから小さなメモ帳を取り出してメモを書いて、木の枝にとまっていた白い鳩を手元に呼び、鳩の足にくくりつけた。


 伝書鳩!!


 そしてジェラルドが空に離すと、飛び立って行った!

 

 おお! 俺はこれが見たかった。

 感動! 生で見れた!! 

 あ! カメラで撮影すんの忘れた!

 

 ま、まあひとまずは肉眼で見れたし、良しとしよう!

 俺は気をとりなおし、木の家に入り、買って来た玉ねぎドレッシングと粒のコーンをベビーリーフにかけ、温かいスープも用意した。

 お湯を注ぐだけの粉末のトマトスープに、ジェラルドが持っていたキャベツを刻んで入れた。


「ジェラルド、パンはソーセージが挟んであるやつと甘いのはどちらがいい?」

「ソーセージ」

「了解」


 俺は鞄からソーセージパンを取り出した。


 しばらくまったりと朝食をいただいていると、彼女はわりと近くにいたのか、庭の方から声が聞こえた!


「私がっ! 来たわよっ!」


 主の許可なくしてこの木の家には入れないから、庭の外から声を張り上げてるのはミレナだ。


 外に出て見るとやはりミレナで、肩で息をして手には首を落とした鶏ニ羽を逆さにして足をつかんでた。ワイルドだな。


 どうやら走って来たみたいだ。


「おはよう、ずいぶん早かったな? もしかして森に住んでる?」


 どこ住み?


「そんなのどうでもいいでしょ! お土産!」


 ミレナは自分も手土産持って来たわよ! って言わんばかりに手にしていた鶏二羽を差し出して来た。 


「あ、ありがとう」

「とりあえず庭に入れば」



 ジェラルドに招かれてミレナは俺に鶏を押し付け、庭のガーデンチェアに腰掛けた。


 鶏皮の唐揚げでも作ろうかな? 

 俺の好物なんだよな。


「ショータ! そっちのお土産は!?」

「あるある、まあ、落ち着け」


 俺は鶏を一旦魔法の鞄に入れて、日本からのお土産をテーブルの上に出していくことにした。



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