アレポの過去
アレポは唖然としていた。声も出ない様子だ。
「わ、わ、私が……どうして、なんで……」
「おれも、襲われた後の事はほとんど覚えていない、気が付くとお前は眉のような白い魔力の塊におおわれていて、その傍らで、狼とある人が死んでいた……それが……ノースの父だ」
「どういうこと……ノース、私」
ノースはまっすぐ前をむいていて、この話にほとんど取り乱すような様子もなかった。
「ふん、しっていたさ、だが……そんな事は“うわつら”にすぎない、俺が気にしているのは……その事実が隠され続けていたこと……それを収めるために新たな犠牲が必要になったことだ」
ノースは人差し指をたてて、パルシュを指さした。
「お前の両親はこのことの“罪”を償うために村の犠牲になった……そうだろう?」
「……」
ノースは腕をくんで、アレポを見る。アレポは絶望して言葉を失っている。
「そんな、私が……そんなに大勢の人を……」
ノースは、ため息をついていった。
「ふん、そんな事はどうでもいいだろう、お前たちもこの村の“神”とそれに捧げられる“生贄”をみてきたはずだ、古くは子供たちだったが、子供たちの犠牲をかばう形で大人が犠牲になることにきめた、パルシュ、お前はまだ隠している、そうだな?」
「くっ……」
ノースがせかすと、パルシュは続けた。
「アレポは……実は……捨て子なんだ……」
「!!!!」
アレポは、突然露わになる悲劇と、自分にまつわることの秘密に声のみならず思考をうしなってしまった。
「アレポ、聞いてくれ……俺たち家族は、俺は……裏の森の中で魔物の狩りや、野生動物を狩っているときにあるものをみかけた、父親と母親がそれをみつけて、そして俺が……ふれた……それは白い繭だった、ふれるとそれは繭の形を分解して一人の少女の形になった、それがアレポ……君なんだ」
「い、いやああああああ!!!」
絶叫するアレポ、唇をかむパルシュ。そして、アレポは意識を失いそうになるほどの自分の絶叫の末に、耳元で声をきいた。
“私だ……トマスだ”
“……”
“私は君に関するすべてをしっている“巫女”だと、それは私たちのルーツにかかわることだ、そしてパルシュ、君は、このタイミングで選ばなければいけない……過去に絶望し、この村にいつくか、もしくは……我々に協力し……“巫女”となるか”
“どうして、私ばかり……”
“その謎をしりたければ、気を失うな、これから起こることをしっかりとその目で見届けろ”
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