決意 信用
二人を見下ろしながら彼はいった。
「君たちは……命知らずだな……だが目的がのほうにじゃない……」
「??」
トマスをみて、アレポがいう。
「あなた、だれなの?どこかで……」
「いや……あるいは“霧の中”か」
トマスは、パルシュの方に目をやる。
「君にまかせたものは持っているか、君の役目は、それだけだ」
「!??」
「ちょっと、そんな言い方って」
「いいんだ、アレポ」
「パルシュ……」
パルシュはゴソゴソとバックを漁る。荷物持ちスキルによって、大量の荷物を持てる。とりだした玉を、アレポに渡した。
それに頷くと、トマスはいった。
「それは、運命のあかしだ、その杖と同じ、君にとっても世界にとっても重要な意味を持つ」
「でも、これ、もらっていいの?私、それに何もあげられない」
「いいんだよ、彼は変わった人だから」
「?」
ふとその会話をした瞬間、横に向き直ると、二人の前からトマスは消えていた。
「おれは足手まといだ、自分のスキルも使いこなせず、信用できない」
「いいえ、いいのよ……あなたにも辛いことがたくさんあったでしょう」
数週間後の夜……、街は落ち着きを取り戻していた。村長のゴルドは、一人、深い悲しみの中にいた。
「事故で私の孫が死んだとはなあ」
その背後で、ガチャン!!とすさまじい音でドアがひらいた。
「誰だ!!」
「俺だよ……爺さん」
「!!!」
そこにはぼろぼろになったノースがいた。
「お前、生きておったのか」
「ああ、復讐しに戻ってきたんだ」
「復讐?誰に」
「アレポと、パルシュだ」
そうして、彼は水晶玉を見せた。パーティメンバーのイベラがもっていた記録の水晶である。それを見せると、初めにパルシュを置き去りにしたときの記録がのこっていた。
「これが証拠だ、あいつは俺に逆らいやがった、逆恨みしたんだ、役立たずのくせに」
「……」
「なんだ?爺さん、俺は」
「わしもお前の事は擁護したい、これまでもずっと味方ではおった、だがこれは違う、これでは町の権力者も、関わりのあるギルドも動かす事はできん、お前、彼らのこれは正当な復讐ではないか」
「……そうかよ」
そういって、ノースはその扉をあけてまた出ていこうとした。呼び止めるゴルド。
「どこへいく」
「別に、あんたは黙ってみていればいい、不満が起こればいつもみたいに誰かを犠牲にすればいい、神の名をかたってな」
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