ギフトマン
ダンジョンの出入り口からでると、もう夕方だった。トマスのいく先をただついていっただけで、安全にそのダンジョンを出る事ができたのだった。
(彼はいったい何者なんだ)
その疑念を持ちながら、パルシュは彼を監視しながらも、正体を探ろうとしていた。ふと、休息の看板がたち、地脈の上に回復の魔法陣がかかれた崖の上の休息所に立ち寄るふたり、ふと、彼の方から口をひらいた。
「君の知り合いに、少女がいるだろう、名前はアレポ」
「ああ、いるけど、あなた、あの子が目当てなのか」
ふと、唖然としたが、座りこみ、何か納得がいったようにふっとそっぽをむくパルシュ
「ああ、そうか、そうだな、彼女は美人だ……僕にはとても……」
「……これを彼女に」
スッと、何かをさしだすトマス。
「これは?」
それは鈍く土気色に光る水晶のようだった。
「オーパーツだ、きっと役にたつ」
「でも、こんなもの、彼女は貧乏だからお返しができないし」
「イラナイ……」
「!?」
ふとトマスという異形の男をみるとすたすたと立ち去るところだった。
「どこへ」
「用事を終えてくる、また会うだろう」
「でも、僕を助けてくれた礼も……」
「いらない、与えるだけ、私は……」
そういって口数少なに足早に彼はその場所を立ち去っていくのだった。
翌朝、ごそごそと家の地下倉庫を漁る少女―アレポ。埃がたち、えづいたり、くしゃみをしたりする。
「何か、何かお宝……そうだ、婆さんの鍵のかかった部屋」
そういって、一度上にあがると家の二階の奥の部屋から鍵をもってまた地下へおりた、その地下のまた一番奥にその小さな部屋はあった。彼女の祖母が大事にしていたしながあるという。
「祖母ちゃん、私が冒険者としての心得が出来たときにだけひらけといったけれど、別にいいわよね」
そういって彼女は、ほっぺたを軽く二階パンパン、と叩いた。
ガチャ……キィイ。
そこはきれいに整理された部屋だった、冒険者の本や、剣や盾、地図や道具が並ぶ、中でもめをひいたのは机の上にのせられていたゴウジュの木でできた杖だった。
それを手に取った時、ふと彼女に記憶がよみがえった。
祖母は昔から自分の親代わりだった。自分が物心つくときまではやさしく、冒険者になれと進めていたが、彼女が次第に少女から大人になっていくにつれて、彼女が冒険者になるのをとめたり、ふさわしくないといったり態度をかえていった。数年前に他界してからは彼女は村の皆に助けられながら一人で生きていた。
「私、やんちゃだったからかな、でも、婆さん最後まで面倒をみてくれて……喧嘩ばかりだったけど」
ふと、それを手に取ると机に紙きれがおいてあった。
「ばか孫、これを机にもどせ」
とかかれていた。
「あのクソババア」
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