第7話
◇
一日の休息の後、予定通りレイスブルームへと向かうことにした。
「出発の前に、リギィさんのところへ顔を出します」
髪を止める大きなリボンをきゅっと結び、レイユは爪先を鳴らす。
「その前に不足しているものを買い足しましょうか。グレン、何か要り様ですか?」
アンジーから与えられた丈の短い上着を着ながらグレンは思考を巡らせる。
武器は以前ないままだ。だが指輪があるので部分顕現をすれば、ブランの武器を呼び出せる。本物ではないが、遜色はない性能を持っている。
あまり得意とする武器ではないが、我儘も言っていられない。
服も今手元にあるもので不足はない。
自分はそれぐらいあれば動ける。
となればあとは旅をするのに必要なものだ。
「地図は」
「待ってます。一応傷薬とかも」
レイユは背負う革製の鞄の肩ひもを掴みながら、ぴょんと跳ねる。
「鞄、持つか?」
「いえ、貴方は身軽でいてください。重くはないですし」
言いながらレイユはぐるりと回転しながら室内を見渡す。
そもそもの所有物が少ないので、持って行けるものもない。必要に応じて出先で買った方が今買い揃えるより効率的だろうか。
となると、ここで足踏みするだけ無駄かもしれない。
急ぎではないが時間が惜しい。
勇み足で歩き出そうとするレイユは視界の隅で揺れた何かに足を止める。
ぱさっと、視界の隅でグレンの黒い髪が揺れる。
邪魔なのか、片手で手早く背に流していた。
「髪、結びますか?」
「結ぶもんがない」
「リボンでよければ」
確か引き出しの中に予備があったはず。
見ると、赤と青のリボンがそれぞれ1本ずつあった。
「……」
彼は瞳の色と相まって赤が似合う人だ。
だが今自分が着けているリボンが赤い。
あの人はそんなこと気にしないだろうが同じ色のものを渡すというのはどうなんだろう。
かといって青を渡すのもどうなのだろう。自分たちの共通認識としてその色は自分の色だ。でもそんなことこの人は気にしないかもしれないし。いや、しないだろう。しないだろうなぁ。
「おいチビ。何してんだ」
「なんでもないです。はい、これでも使えばいいんじゃないですか」
赤いリボンをグレンの胸元に叩きつけるようにして渡す。
「は? 何怒ってんだこいつ」
「怒るところなんてなかったでしょう? つまり気のせいです。そんなことより、行きますよ」
「勝手かよ。んで? リギィの家ってどこだよ」
「案内します。黙ってついてきてください」
「黙らせる必要あるか?」
先に駆け出すレイユが途中で置いていた家の鍵を手にする。
締めるのが道理ではあるが、泥棒も入った家がこの家だったら絶句することだろう。あるのは必要最低限の家具と冷蔵庫に残された草、基、野菜ぐらいだ。
尤も、単純に荒らされては困るので戸締りは必須だが。
グレンが家を出ると、レイユは不慣れな手つきで鍵を閉める。
それを片手に鞄を下ろそうとするので、グレンは片手を差し出す。
「……」
一瞬奇妙なものでも見るかのようにレイユは目を丸くしたが、意図を察するとその掌に鍵を乗せた。
「適当につっこむぞ」
「嫌です。背中にポケットがあるので、そこにいれてください」
「へいへい」
「面倒臭がらないでちゃんといれてくださいね」
念を押されてしまったので、言うとおりの場所にグレンは鍵をしまう。
城にいた時はもう少し物静かだったような気がするのだが、気のせいなのか、少し変わったのか。
「リギィさんの家はこちらです」
方向を指さし、レイユはさっさと歩き出す。
いや。やはり変わったような気がする。
前はもっとブランの背に隠れているような人だった。
◇
レイユが足を止めたのはこの街で見るには立派な家の前だった。
一階は暗い色のレンガで作られているが、二階は随分と日当たりがよさそうだ。前面ガラス張りに見える。
「こんにちは」
ノックではなく、レイユはドアにそう声をかける。
すると視線の高さが盛り上がり、ライオンのドア飾りへと変化する。
「ご用件は」
ライオンが流暢に喋り出す。声の低さか、造詣のせいか。飾りのくせに多少の威厳を感じてしまう。
レイユはそれと目を合わせながら「リギィさんいらっしゃいますか?」と。
「少々お待ちを」
「はい。お願いします」
それだけ言うとライオンはすっと平面に戻った。
「……何。今の」
「魔術ですよ。リギィさん、魔術師ですから。そうなんです、魔術師でもあるんですよ! だからこのお家、びっくりする仕掛けがあるんですよ!」
レイユは軽く拳を握り、目を輝かせる。
見ない間に淡々と返答するようになったので大人になったのかと思ったが、まだ子供っぽいところが残っているというか。
いや、前はこんな豊かな反応していなかったような。
というか。
「あの男の家入ったことあるんすか」
「え? ありますけど」
「……へぇ」
「む。なんですかその反応。言っときますけど、リギィさんは私の恩人なので手酷い暴言とかやめてくださいね」
「恩人だぁ?」
「そうです。独りの時に助けて頂いたんです。だから、恩人」
「……」
こっちだって好きで捕まっていたわけじゃないし、あいつだって好きで一人にさせていたわけではない。
可能なら目の届く範囲に入れておきたいし、危険から遠ざけられるのならそうしておきたい。
大体仮に助けたところでそれぐらい感謝してくれるんだろうか。されたいわけではないが、感謝の言葉一つで済まされそうだ。どうせ大層な扱いはされない。
あの世での愚痴にでもするか。
なんて気持ちで待っていると、「はーい」と中から声が近寄ってくる。
ドアが開くと、視界に淡い緑色が広がる。
「あっ! レイユちゃんだ!」
その双眸は花弁を思わせるような色をしている。
「急にごめんなさい、リリア」
「ううん全然。いつでも気軽に来て? 大したおもてなしはできないけど」
出迎えた彼女は咲くような表情でそう言う。
彼女の姿を見るのはこれが初めてではないが、今までで一番近くで見た気がする。
尖った耳は想像よりも広い。人間には聞こえない音も容易に拾いそうだ。
「出てきてもらって悪いけど、私たちリギィさんに用があるの。いる?」
「あー、うーん。いるにはいるんだけど……」
出て来るかしら、とリリアは頬に手を当てて室内に目を遣る。
「ちょっと声かけてみるから、中で待ってて」
どうぞ、と室内へ案内する彼女の後ろを二人はついて行く。
玄関は3人が横に並べる程に広い。
入ってすぐのところにポールハンガーが置いてあり、女物と男物の上着がかけられている。その下にも同様に女物と男物の靴が。
思わずそれに釘付けになっていると二人が先を行くのでグレンも数歩遅れながら従う。
入ってすぐの廊下は階段にも面しているようだが上がってすぐに曲がり角があるので上は伺えない。
廊下の先のドアを開けると、広いリビングが待ち構えていた。
隅にキッチンが併設されており、そこだけ床の色が違う。
キッチンの正面にはカウンターがある作りなのだが、それとは別にテーブルと椅子が置かれている。
「どうぞ。座って」
言われるがままに二人は並列で座る。
リリアは白い椅子に二人を座らせると、一つ笑ってからぱたぱたと部屋の隅ドアへと駆け出した。
その先にリギィがいるのだろう。
だがそのドアは彼女が外から声をかけてもすぐには開かれなかった。
その姿を見ながらグレンは右隣に耳打ちするように「どういうことだよ」と声をかける。
「どういうこと、というのは?」
「聞いてねぇぞ。野郎の家尋ねたらあのエルフが出て来るなんて」
「それは言ってませんでしたから。でも、大した問題ではないはずですよ。リギィさんとリリアが一緒に居ても貴方に不都合はないでしょう?」
「ねぇけどさぁ」
「なんですか。あ、言っときますけどリリアは私の数少ない友人なので不適切な言葉使ったら怒りますからね」
「友人ねぇ……」
恩人の次は友人。
しかも『怒ります』ときた。
出来るものならやってもらいたいぐらいだ。
この人が不機嫌になるところは見たことあるが、怒るところは見たことがない。
自分達より付き合いの浅い相手に。しかも違う種族に我々の姫君は自分を曝け出しているらしい。
「……ブランは?」
「……えっ。なんですか急に」
「リギィが恩人。あのエルフが友人。ならブランは」
「婚約者ですよ。ご存じの通り」
「へぇ。じゃあ俺は?」
「……本当になんなんですか急に」
レイユが座ったまま少し身体を遠ざける。
眉間に皺をよせ、口を露骨に曲げている。
今必要な会話なのかとでも言いたげな表情だ。
こちらのモチベーションの問題だと正直に言っても良かったが、別の言葉を挟んでそちらに軌道を反らされるのも面倒なのでひたすらに彼女の顔を見据えた。
それはもう不機嫌を顔に張り付けて。
恩人。友人。その系列に婚約者が入るのが気に食わない。
前二つは主観的なもので最後のは客観的なものじゃないのか。
周りに言われたから鵜呑みにしています、と言いたげな距離感が触った。
はぁ、とレイユは品よく座ったまま俯きがちに溜息を吐く。
「ブラン様は大切な人で貴方は大事な人です」
「へぇ。初めて聞いた」
「そうでしょうね。直接言うようなことだと思いますか?」
「ってことはブランも知らねぇわけだ。言ってやりゃよかったのに」
「貴方ほどの護衛にもなれば主の色恋にも口出しもするんですね」
「する必要のない奴だったろうが。少しは返してやればよかったのに」
「……つまり、ブラン様に嘘を吐け、と?」
「……」
押し黙るグレンにレイユは下から視線を向ける。
レイユの気持ちが別のところを向いていたことを知っているのは二人ともだ。
それでいて応えるようなことを言えというのは、主に適当なことを言えというのと同義だ。
そんなこと、頷いていいはずがないだろう。
グレンは足を組みながら顔を背ける。
まるで機嫌を損ねたような態度にレイユは同じく顔を背けて呟く。
「……ご存じの通り他の方に懸想していたんです。知らない話じゃないんでしょう? 意地悪を言わないでください」
「……」
知らない話ではないが知りたくなかった話だ。
途端に自分の行いが馬鹿馬鹿しく見えてきた。
首を揺らすと長い髪が項にへばりつく。邪魔くさい。
そういえば結べるものを預かってから何もしていなかった。
ポケットにしまっていたリボンを取り出すと、「待たせてごめんなさい」とリリアがテーブルの向かい側まで来ていた。
手には先程までもっていなかったはずのトレイを持っており、その上に腕輪が二つ行儀よく並んでいた。
「レイユちゃん。これを両手に付ければ加護で少しは呪いに対抗できるはず」
腕輪の色は透明すぎる白色をしていた。
奥で何かが発光しているかのように見える。
「ちょっと大きいけど、なるべく外さないでね。――あれ? ちょっと待って。レイユちゃん、もしかして、二人で行く感じ?」
「……はい。これは二人で分けても?」
「それは効果が薄まっちゃうかも……。の前に、レイユちゃんで合わせてるから、そちらの方の腕には多分合わないわ」
「……そう、よね」
「……そう、かも」
「……」
「……」
あははは、と二人が顔を見合わせて苦笑する。
「ごめんなさい! 私が急に予定を変えたからよね! そうよね、ずっと一人で行くって言ってたんだもの。どうして気付かなかったのかしら」
「ううん。ううん! わたしたちもなんで気付けなかったのかしら! レイユちゃんがその人を取り戻しに行くって話から聞いてたのに!」
ガタン、と椅子を鳴らして立ち上がり、深々と頭を下げるレイユ。
その正面でリリアが長い髪を振り乱しながら首を何度も横に振る。
「そうやってても仕方ねぇだろ。無いものはない。くたばりかけたら見捨ててくれ」
口を挟むと、キッとレイユにきつく睨まれる。
「その可能性があるのなら貴方を置いて私一人で行きます」
「ふざけんな。手足縛ってやろうか」
「ああっ、喧嘩はダメっ! もうちょっと待ってて!」
リリアがばたばたと駆け出し、拳で先程まで張り付いていたドアを強く叩きだす。
「リグ! 大変かもしれない! 起きてちょうだい!」
出てこないと思ったら寝てんのかあいつ。
ったく良い身分だな。
そんなことを思いながら髪を束ねていると、バンッ! と勢いよくドアが開け放たれた。
「あ! リグ! 取り込んでるところごめんなさい。お願いがあるの! さっきの腕輪、複製してくれないかしら」
「あァ?」
威嚇でもするかのようなガラの悪い声が聞こえてきたかと思うと、ドアの陰から小柄な男が出てきた。
長くうねる髪を高い位置で一つに束ね、背を丸くして、前に見た時より幾分も悪い目つきをしている。
「複製だァ? 二つあっただろ。腕何本あんだよ畜生が。一個ずつ嵌めやがれ」
「一個ずつ嵌めて、足りないのよ。だって腕が4本あるんだもの!」
「あァ? バケモノ招いてんじゃねェ」
やさぐれた態度でリギィは手に持っていたパイプを口に咥え、ギロリとこちらに目を向けてきた。
獰猛な野生動物のような彼を見ながら「バケモノで悪かったな」と軽口を返すと、ずるような足音を立てながらテーブルまでやってくる。
「ンだテメェか。結局姫サマと行くのかよ」
「泣きつかれたんだよ」
「泣くような奴かよ。それで? オマエの分も腕輪作れって? 作るのも楽じゃねぇんだぞふざけんなボケが。大体サイズが分かんなきゃ作れな――あぁ、俺お前の腕のサイズ知ってるわ」
「あ? 野郎に教える趣味ねぇぞ」
「こっちも教わる趣味ねェわ。この前お前の手錠外してやっただろ? あんときだよ」
「……マジ? あれだけで情報抜かれんのかよ」
「漏れても困んねェ情報すぎんだろ。ったく、仕方ねェなァ」
リギィは軽い身のこなしでテーブルの上に座り、細い足を悠然と組む。
そしてテーブルの上に並べられた腕輪を指摘でもするかのように指で指した。
直後、リギィの背を覆うほどの髪に変化が走る。
毛先から薄い黄色が駆け上がる。だがそれらは15センチほど駆け上ると足を止めた。
それと同じタイミングで、鈍い光の粒子が腕輪の横で小さく渦巻く。
ぐるぐると空気をかき混ぜるように回り続けたかと思うと、途端、弾け飛んだ。
唐突のことに思わず目を閉じる。
その間に、カラン、と硬い接触音がし、目を開くと腕輪が二つ増えていた。
「持ってけクソ野郎。金はとらないでやる」
「ありがとう、リギィさん。いつも助かるわ」
「ならちゃんと最後まで助けられろよ。途中で外したりはすんな。……ん? ってことは、レイユ。コイツにも今回何をしに国に行くのかは話してんのか?」
「それはまだ。現地で話そうかと」
「何をしにって、呪いを解きに、じゃねぇの?」
ふぅ、とリギィは天井を見ながら紫煙を吐き出す。
「行ってちゃっちゃか解けちまうようなもんなら今頃さっさと解かれて、どっかの国に吸収されてるだろうな。つまり、数年経った今でも解き方が分からねェってことだ」
そうなのか?
グレンが隣に目を向けると、静かに頷かれた。
「……各国の調査隊が派遣されているという話を聞いたことがあります。そのどれもがレイスブルームに入るなり消息を絶つそうです」
「消息を絶つ? 理由は?」
「それは」と口を固く閉じるレイユの代わりにリギィが饒舌に語りだす。
「推測だが、呪いを浴びて人間性を持ってかれてんだろ。発狂しちまってんのか、姿そのものが変わっちまってんのかは知らねェ。つまり今となっては何が生息してるのかも分からない魔境ってことだ。いいか? ちゃんと生きて帰ってくることを真っ先に考えろ。奥まで入って生きて帰ってきた人間はいない。これを肝に銘じろよテメェら」
テーブルに座る。結ばれた髪から覗くやや尖った耳にはピアスがじゃらじゃらとつけられている。骨ばった細い指には幾つかの指輪が嵌められている。そんな成りで神職だという。加えて魔術師だそうだ。髪色は魔術を使えば変化し、よく見れば目の色も一色に定まっていない。
そんなふざけた存在でありながら随分とまともなことを言う。茶々を入れる隙もない。
「グレン。オマエ、まだ何をしに行くか聞いてねェって話だったな。いいか? よく聞けよ? 呪いを解くにはその元凶が何なのか確かめなきゃならない。だから俺はレイユにまずそれを持って帰ってこいって言ってある。持って俺のところに来い」
「元凶を持って帰らなきゃならないのは分かった。でもなんであんたのところなんだ」
「大昔だが聖職者をやらされていた」
言いながらリギィはパーカーのファスナーを開け、首にかけていたそれを指に引っ掛けて見せつける。
主に丸い小さな石で構成されているが、一番下に十字架があしらわれている。
ロザリオネックレス。
神職者の証だ。
「その関係で祓魔を齧ってる。あと今見せた通り魔術師だ。大国で踏ん反り返ってる魔術師でも分からねェ呪いだっていうならあとはもう俺みたいなのか、あるいはもっと高次な存在じゃないとどうにもなんねェってことだ。どうにかしてほしかったら黙って俺のところに持ってこい」
断言する目の前の存在にグレン五感感を尖らせる。
何度見ても大部分は人に見える。
魔物のような邪悪さも感じられない。だが推し量れないのもまた事実。
「あ? なんだよ」
グレンの目つきに気付いたリギィがかったるそうに言う。
「いや、あんたは何者なんだろうなって思っただけだ」
「教えてやってもいいが長くなる。まぁ見ての通り真人間ではない。敵か味方かの判断はそっちで勝手にしろ」
「あんたが敵だったらもう大人しく首を括る。あぁ、そうだ。ウチの姫様が世話になったらしいな。礼を言わせてくれ」
「要らん。世話をしたのは全面的にこっちの趣味だ。それでも恩を返したいって言うならその姫サマから二度と目を離してくれるな。体一つじゃ馬鹿一匹を目にかける余裕しかねェんだよ」
「……承知した」
敬意を表するグレンの斜め正面で「馬鹿一匹ってわたしのこと?」とリリアがリギィに詰め寄る。
「違うのか?」
「分かった。邪魔したから怒ってるのね? ――レイユちゃん、グレンくん。何か確認しておきたいこと、あるかしら?」
「ある。呪いの元凶はどう持ち帰ればいい。素手で掴んでいいものなのか」
「その腕輪をつけてる状態なら素手で掴んでも問題はない。影響を及ぼしてる範囲から考えておそらく元凶は全部を持って帰ってこれるほどコンパクトなものじゃない。だから持ってくるのは欠片で十分だ。そのぐらいの量なら持ち出しても腕輪の加護で完封できる」
「最大どれぐらいの量まで完封出来る」
「そうだな。レイユの背負ってる鞄に入るぐらいなら完封してやる」
「了解」
グレンは間髪入れずに返答し、素早く立ち上がった。
やることは定まった。
ならばここに長居する理由はない。
「ところでグレン。オマエ、お尋ね者だけどその面隠さねェで楽に移動できると思ってんのか?」
「あっ」
グレンの右隣がはっ、と息を呑む。
自分で助け出したくせに忘れていたらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます