第35話 洗脳と言う名の治療

「はぁ~どこに行っても気が休まらないわね」


あのあと、私とセレスはすぐに帰ってきてしまったの。


何処に行って色々な物を押し付けられる様に渡されるし。


欲しいとも言ってないのに…次々と物が増えていく。


街中も普通に歩けないわ。


「確かにそうですね」


「本当にそうよ…これからどうしようか?」


「まぁ、本当に困ったらどうにかしますよ」


「えっ…どうにかなるの?」


「ええっ」


「だけど、マリルは本当の意味では困っていないでしょう?困るのが半分、嬉しいのが半分じゃないかな?」


「確かにそうね、困っているけど、嫌じゃないわ」


困っているのに、嬉しい、確かにセレスの言う通りだわ。



◆◆◆


「ハァ~貴方達は、まったくもって頭が可笑しいのですか?」


私事パルドール元侯爵は、今修道院で更生を受けている。


だが…我々4人は凄く遅れている。


「なんで娘を崇めなくちゃいけないのよ!」


「カロリーヌ…お前はふざけているのか? マリル殿は女神の使い、この世界で2番目に尊いかたなのです?最早お前の様な下賤の者の娘ではない、それが解らぬのか? 命まで助けて貰ってその態度!万死に値する」


「妹を崇めろ! ふざけんじゃねーよ」


「アントニー…お前はふざけているのか?」


「なんで私が…こんな事になるの?」


「シャル…それは本気で言っているのですか?」


我が家族ながら本当に馬鹿だ。


此処は修道院という名の洗脳施設だ。


此処にきた時点で『勇者を心から慕うようにならない』限り開放はない。


幾ら逆らっても無駄なのだ『長い時間を掛けて』そうなるまでこの治療は続くのだから。




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