第6話 張り込み

「拓也、今日なんか学習室に女の子全然いなくね?

敷地内には、いっぱいいるのにさ」


「今日、隣の公民館で富東の吹奏楽演奏会あるらしいぞ

崇も聞きに来るって言ってたし

この学習室来る受験生って、富高か富東ぐらいだろ

だから富東の子達いないと男ばかりになっちゃうんじゃね」


「そういう事か、でも、崇がクラッシク楽演奏会聞くって柄じゃないよな

聞いてロック、下手したらハードロックしか聞かないってイメージだけど」


「目的が違うんじゃない?」


「なるほど、女の子か?

って、考えてみたら、ここの学習室に来る女の子は、拓也の言う通り

ほぼ富東で、あの子も勉強道具持って来てたとしたら受験生で

富東だとしら、今日の演奏会来るかもしれないよな?

あの子のお淑やかな感じって吹奏楽やってますってイメージにピッタリだし」


「確かに富東の可能性は高いから来るかもな

俺は、見てないから吹奏楽やってますイメージについては、わからんけど

見に行ってみるか?崇も来るし」


「すぐ行くぞ、拓也」


「今すぐかよ、まだ始まらないだろ」


「目的は演奏会じゃないからな、

会場に入って席に付いちゃったら見つけられないだろ

会場入り口で張るんだよ」


「ゆき、お前本当に、そんなところだけ頭が回るな」


「拓也、そんなところだっけって失礼じゃね?その通りだけどさ」


僕らは、公民館へ移動した。


公民館のロビーは、既に

楽器の搬入や受付の準備やらに追われる富東校生達で溢れていた。


その中にあの子は、いなかったので、


僕はこれから入ってくる人をチェック出来る場所を探した。


ロビーへの入り口は、南北合い向かいで人が増えれば両方を見通す事は出来ない。

また、コンサートホールへの入り口は数が多いので二人では見切れない。

結局、拓也からは正面から顔は見えないことで、

来ても特定できないんじゃないかと不安視されたが、

また、不審者扱いされるのも嫌なこともあって、

必ず通る受付を横から見通せ、長くいても不自然じゃない

自販機前のテーブルから張り込む事にした。

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