第4話 翌日

「昨日の子、今日も来ないかな~ なんか勉強道具持ってた感じだったから

俺らと同級生で受験勉強しに来てたらなら、来る可能性あると思わない?」


「実在すればな!ゆきが昨日言ってた

海なし県の群馬で大海原のビジョンって、わけわからんし

江戸時代以前の古い建物の街並みってのも意味不明だし、

顔もまともに見てないのに可愛いだの天使だのっても言ってるの

どうかしてるし」


「いや、絶対実在はしてるって、人間かどうかはわからいけど」


「人間じゃないって、何なんだよ?」


「天使♪ いや待て、妖精って可能性もあるな」


「はぁ~ 朝から馬鹿な事言ってるな!


まさか今日も一日中入口ソファーに座ってるつもりじゃないだろうな?

受験生なんだぞ、お前も」


「解ってるって、それにあの子も勉強しにくるなら、

学習室で待つ方が効率いいから、そうするつもり

これから夏休みの間、毎日」


「そんなんで受験大丈夫か?」


「俺は拓也みたいに東大なんて目指してないし、

金の掛からない国公立ならどこでもいいんで、どうにかなるでしょう」


「いやいや、ゆきの今の英語の成績じゃ無理だって」


「そこは、拓也にこの夏教わってキャッチアップでしょ?」


「キャッチアップって、そんなとこだけ英語かよ」


「どうやればいいの?コツは?」


「努力」


「…」


この日、少女が現れることはなかったが、


僕は、この年の夏休み本当に毎日


昼食まで持ち込んで開館時間中を図書館で過ごすことになった。

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