第18話 シャルロットSide 2


18  シャルロットSide 2



シャルロットはユキナ様の作戦を実行する。



☆ 挨拶を毎日する事。


この学園の敷地は広大だ。挨拶と言ってもレオンハルト様に会える確率が非常に低い。

クラスに訪ねて行けば良いのだけれど、毎日となれば不自然な気がする。

私はお父様に頼み込んで、学園寮の引っ越しを決めた・・・権力とお金の力で。


邪魔な侍女は、部屋で待機させている。

朝は寮内の食堂でレオンハルト様のお姿を探す事から始まる。




☆ アーネスト様と敵対しない


アーネストとは少し距離を置いていたが、それを感じさせないように挨拶をした。

私は悪口も言っていない。都合の良い事に回りの取り巻き令嬢令息が、勝手に言ってくれるのだから。


アーネストへの気遣いを見せる事で、レオンハルト様の好感度を上げるのだ。

ユキナ様の作戦は、本当に良く出来ている。


「レオンハルト様、アーネスト様、お早う御座います。」とシャルロットは笑って言う。




☆ 新入生歓迎ダンスパーティでレオンハルト様とダンスを踊る。


エスコートはレオンハルト様が良かったのだけれども・・・そうはいかない。

公爵令息のベガティがエスコートしてくれる事になった。

こんな軽薄そうな奴がファーストダンスの相手だと思うと、溜息しかでない。


馬鹿な取り巻きの・・・(名前は何だったかしら?)子爵の令息が、タイミング良くダンスを申し込んできた。

私はレオンハルト様へ、助けの眼差しを向ける。良い演出効果になった。


ダンスの申し込みをしてきた取り巻きの令息が、アーネストとダンスを踊っているのを確認した。

今日は、何時も役立たずの令息が初めて役に立った。

アーネストはベガティとも踊っていた。これはユキナ様に報告すべき案件だ。




☆ 皇太后様主催のガーデンパーティでレオンハルト様の髪の色と瞳の色の会話を交わす。


正直これには悩まされた。幾つかの台詞パターンを用意し、レオンハルト様の髪の色と瞳の色と同じ、大きなエメラルドのネックレスも用意した。どう切り出そうかと思っていたら、馬鹿なアーネストの転生者がチャンスをくれた。ナイスアシスト!自然に会話が出来たわ。


「有り難う御座います。レオンハルト様の髪と瞳の色ですから。」と悪戯な笑みも見せた。




ユキナ様のシナリオは完璧だった。そしてアドバイス通りに振る舞った私も完璧だ。

私は毎日あった事をこと細かく、交換日記に記した。



アーネストの攻略対象キャラは、シャルマン・ヘンリー・エリオットの3人らしい。

そういえば3人とダンスも踊っていた。ガーデンパーティでも、会話を交わしていたみたいだ。


レオンハルト様の事は、進んで攻略をしていない様子だ。婚約者だからと油断でもしているのか。

図々しく馬鹿なアーネスト・・・あの3人とレオンハルト様では、比べものにならないわ。


私は一途にレオンハルト様だけを思っているのに・・・

あの3人はアーネスト、あなたにあげるわ。私にレオンハルト様を頂戴ね。




ユキナ様のアドバイスによると、次はレオンハルト様のお茶会。

童話のワンシーンを切り取った様な風景を、2人で見ること。その瞬間には虹が見えるらしい。


後1つ、後1つレオンハルト様のお茶会を完璧に終えたら・・・私達は結ばれる。



全ての決着は、お茶会のイベントで着くはず。転生者の出番は、そこでお終い。

卒業パーティには記憶の残っていない小動物の様なアーネストが来る。

愚かな転生者のお陰でね。


何も知らないアーネストを、追い込んで追い込んで追い込んで・・・それで終わりよ。

卒業パーティでは、断罪イベントを行って追放刑にしてやる。

私の目の前から消えなさい、アーネスト。



シャルロットは学園寮内の自分の部屋で、就寝前にホットミルクを頂きながら・・・

レオンハルト様のお茶会イベントを待ち遠しく思った。



今日もユキナ様への報告が沢山ある。

交換日記のノートを開き、ペンを走らせる。




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