217話、マフィア乗っ取り報酬


マナガルムと、コボルト百人ほどを仲間にした。


「テイムできるなら最初からすれば良かったんすよ」


「いや、ちょっとビビっちゃって動けんかった」


「ほんっとに怖かったのです」


殺気で動けないのは初めての経験だったかもしれない。


マナガルムとコボルトも二層に上り、そこで待っててもらう事にした。帰りのアンジュの仕事が増えてるぞ。


「さすがに帰るかあ」


「なんか、久しぶりの地上って感じっす」


「つかれたのです」


「はよう酒が飲みたい……」


珍しくみんな疲れている。

三層、四層だけでなく五層もクリアしたし、濃厚なダンジョンアタックだったな。


五層の片道ポータルから地上に戻る。なんだかんだでもう昼前くらいか。

入るのは夜だけだが、出るのは日が出ていてもいいんだな、この迷宮。


「そういえば、マフィアの件はどうなったの?」


ちょっと忘れていたが、マリアがどうにかするって話だったはず。


「もう済んだのです」


「済んだ?」


「全部支配したのです。あとは大公様に報告してプレゼントするだけなのです」


やることが早い。さすが神になる女。

それなら、そっちはもう考えなくていいように、今日中にパライバさんに報告しにいくか。

屋台で軽く軽食をとって、それから大公の館に向かう事にした。




「なんと言ったらいいか…… ひとまず、ありがとう。これで我が国の運営も、更に楽になるだろう」


「いいのです。楽な仕事だったのです」


「改めて褒美をとらせたいが…… あなた方が欲しがるものの検討がつかない。なにか、希望はあるか?」


と言われても、なにも欲しいものないかもしれない?


「ファイラちゃん貰おうかな」


「うむ、ならばそれで」


「お父様!?」


え、いいの?


「いいのです?」


「ああ。元々、外国へ留学させようとは思っていたのだ。しかし親心ながら、安全性などへの不安が大きくてな。その点、あなた方の国なら、少なくとも武力面では安全だろう」


それはそう。うちより安全なところなんて、多分ない。なにせ、超危険な魔物たちに守られているからね。ゼストも居るし。


「じゃ、借りようかな。内政の人手も足りないだろうし、そこにつかっていい?」


「それがもっともありがたいな。五年ほどで返してもらえると助かる。ファイラ、相手を連れて帰ってくれたら、お父さんはとても嬉しいよ」


「え、お父様……?」


「うちにはいろいろ居るし、お相手の一人くらいは見つかるでしょ」


「え、タキナ様……?」


独身の男も多いし、美形も高給も紳士な人も多いからね。別に男じゃなくてもいいけど。性転換スキルのオーブもあるし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る