187話、ふたつ目の町
お昼休憩も終わり、また馬車の旅だ。
あと数時間で二つ目の町に着く。
「次はアークトゥルス帝国からペルギウス公国への最後の町、ナイアっす。ここの名産はスライム粉をつかった水餅だったはずっす」
えなにそれ、スライム食べるの? 粉にして? すごいな。
「美味しいのです?」
「前来た時は食べなかったんすよね。楽しみっす」
私も楽しみになってきた。
スライムって、今のところ酸っぱめの水のイメージだからね。水餅にしたらどんな味なんだろう。
「あ、あと川が近いからか川魚が多かったっす。煮込みとか塩焼きとかあるっすよ」
「おお、酒にぴったりじゃな!」
そっちも試してみよう。そういえば海産物はそこそことれるけど、川のものは私の国ではとれないな。どうにかならんか。
というわけで、何事もなくナイアの町に到着。
こういうのって、道中で盗賊とか魔物とかが出てくるイベントがあるものなんじゃないの?
「足の早い馬車、やばそうな御者、安全な国道、なにかが起こるほうがおかしいんすよ」
「それもそうか」
ボンガの町の時と同じような検問をパスして、ナイアの町に入る。
見た感じはボンガの町と変わらないが、大通りには屋台は見当たらない。
「屋台はどこ?」
「中央広場ってのがあるんすよ。そこに屋台がひしめいてるっす」
なるほど、そういうパターンか。
冒険者ギルドにて、ヒナの権力をつかって高級宿を予約。
日が沈むまで自由時間を得た。
「西広場の教会前集合っすよー」
「はいなのです! タキナ、行くのですよ!」
「お、デートかな」
「レティ殿はなにか買いたいものはあるかのう?」
「一通り回りましょう。ムサシ殿、護衛をお願いします」
「私はどうするっすかねぇ…… 魔道具屋でもいくっすかね」
各々好きに行動することになった。私はマリアとデートだ。羨ましいだろう。
「これがスライム水餅か」
「透明なのです。ぷにぷになのです」
見た感じ、水信玄餅みたい。味あるのか?
「おっちゃん、これふたつちょーだい」
「あいよ! タレはどうするんだい?」
タレ……? 黒蜜とかそういうのか?
「おっちゃんのおすすめは?」
「おう、俺なら黒蜜だな。こっちのアマダレも美味いが」
「じゃ、とりあえずどっちも」
「あいよ! ほれ、落とすなよ」
やった、スライム水餅ゲット。
さっそく食べてみよう。
「うん……? なんか思ってたより爽やかなのです」
「うっすらと美味しい草の味がするなあ。黒蜜うめぇ」
わらび餅とか、そんな感じの味だ。何食わせたらこんなスライムになるんだろう。
美味しかったので、同じ屋台で買い込み。
ほかの店のも食べ比べのために買いつつ、いろんなソースをためした。
「やっぱり黒蜜が最強だね」
「たまにはこれくらい控えめなのもいいのです」
うん、普段は糖尿病まっしぐらみたいなものばっかり食べてるもんね。まだ繊細なものも美味しく思えるみたいでよかったよ。
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