163話、最下層の下
「確定テイムっていう、一日一回だけ魔物を確実にテイムできるスキルがあるんですよ」
「なんとまあ、面妖な……」
最強のチートスキルだと思ってたよ私も。
でも他の人のスキルも大概だったからね。いや、チート級なのには変わりないんだけど。
「ちなみに、ムサシさんはどういう魔物だったんすか?」
「おお、めんこい猫のおなごよ。主の無作法のせいでまったく見せられんかったからな。ひとつ、教えてやろうではないか」
無作法て。いや、戦いは双方が合意してからするものだからね。私は戦いたくなかったの。
「ワシのスキルのひとつ、絶対切断。これは、どのようなモノでも絶対に刀を通す事のできるスキルじゃ。どれだけの防御力も、盾も、たとえ異空間であっても、ワシは絶対に切断できる」
え、ええ…… 悠長に戦わなくて本当によかった。
戦闘センス皆無の私には勝ち目ないじゃん。こわ。そりゃ二十層に置かれるわ。
「他に二十ほどスキルを持っておるが、まあそれはおいおいじゃな。これからは主の懐刀として、よろしくたのむぞ」
「よろしくっすよー」
いやしかし、最強の剣士を手に入れたな。
……魔物なら、食べたら私も絶対切断を……いや、さすがに無理だ、倫理的に。
「さて、じゃあ、隠し扉を見つけて……エリスのとこの鍵を持って帰ろう」
「それなら、こっちじゃな。この石像の裏の……ここをこうして……ほれ」
石像の裏にあったなにかをガコンガコン動かすと、石像の裏の床に階段が現れた。
この下に、この前貰った鍵をつかう扉があるのだろう。
「ワシが護衛をしよう。罠も敵もないとはおもうがな」
「私は後ろ守るっすよ」
多分私が一番硬いけど、ふたりのほうが戦闘は強いからね。任せよう。
地獄迷宮二十層の更に下、隠された道の奥、そこには扉があった。
明らかにやばそうな装飾の扉だ。でっかい鎖とか鍵とか御札とかついてる。封印されてるやつだ。
「この鍵を……どうするんだ?」
「とりあえず近づけてみるっすよ」
鍵穴なんてどこにもない。
言われた通り、貰った鍵を近付けてみる。
ごごごご、と扉が動き出し……上にスライドしていった。あ、これ前世のゲームで見たぞ。
扉の物々しさとは違い、中は明るく綺麗だった。
なんだか深海の宝物庫に似ている。
「ほお、この刀、いいのう」
「これ防具っすか? ほぼ下着じゃないっすか。 ……え、最上位の身体強化ついてるっす!」
深海の宝物庫と同じく、こちらも武器防具、魔道具やオーブなどが保管されている。ここも宝物庫か。
最奥に到達。
最奥の壁に、黒く濁った玉が置かれている。
「これがエリスのところへ向かう鍵、かな?」
鑑定スキルなんかないからわからないな。
鑑定スキル、ほしい。いや、ほとんど使う場面ないけど。
「わからぬのなら、全て持って帰ればいいのではなかろうか?」
「お、たしかに」
それもそうだな。全部かっさらっていこう。
……最近、やってることが盗賊みたいだな。
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