第28話 新パーティ
俺は深呼吸をして、決意を込めた声で言った。「テック、俺はお前との約束を守る。そして、ルカ、リリル。俺たち4人で新しいパーティを組まないか?それぞれの強みを活かし、互いに補い合える素晴らしいチームになれると思うんだ」
テックとルカは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに期待に満ちた笑顔に変わった。リークは少し寂しそうな顔をしたものの、理解を示すように深く頷いた。「それは面白い提案だ」とリークは言った。彼の声には真摯さが滲んでいた。「お前たち4人なら、きっと互いの能力を引き出し合える素晴らしいチームになるだろう。期待しているぞ」
ルカはその提案に歓喜し、目を輝かせた。「素晴らしい!すぐにリリルを呼んでくる!」と言うや否や、まるで風のようにギルドを飛び出していった。その姿は純粋な喜びに満ちた子供のようで、周りにいた皆は思わず温かな笑みを浮かべた。
「あいつ、本当に嬉しそうだな」とゴルドが柔らかな口調で言った。その声には、ルカへの親愛の情が滲んでいた。
ブルームも優しく頷いて、「新しいパーティの誕生ね。これは間違いなく面白い展開になりそう。彼らの成長が楽しみだわ」と付け加えた。彼女の目には、新しいチームへの期待が光っていた。
「まぁ、振られた俺たちがこの場に居座っても邪魔だろう」とリークが少し自嘲気味に言った。しかし、その声には悔しさよりも、新しいチームへの祝福の気持ちが感じられた。「さあ、みんな。俺たちも新しい冒険に出かけようじゃないか」そう言うと、彼は自分のパーティのメンバーたちを優しく促し、依頼掲示板の前へと向かっていった。
その時、ギルドの扉が勢いよく開き、ルカとリリルが息を切らせながら入ってきた。ルカの顔には喜びと興奮の表情が溢れていたが、リリルは少し困惑しつつも期待に胸を膨らませているようだった。「みんな、リリルを連れてきたよ!」とルカが大声で叫びながら、俺とテックの方に熱い視線を向けた。
「おいおい、子供みたいにはしゃぐなよ」とテックが呆れたような表情を浮かべながらも、その目には確かな喜びの色が宿っていた。「まったく、お前らときたら……」
リリルは周りを見回し、状況を理解しようと努めているようだった。彼女の目には好奇心と少しの不安が混ざっていた。「え、えっと……新しいパーティを組むの?」と彼女は少し戸惑いながらも、期待を込めて尋ねた。
俺は優しく頷いて、「ああ、そうだ。俺たち4人で新しいパーティを作ろうと思ってる。リリル、どうだ?一緒に冒険の旅に出ないか?」と温かな声で誘いかけた。
「私はルカキュンについていけたら何でもいいっていうか、沢山冒険できるならなんでもいいよ!」リリルは目を輝かせながら答えた。その声には、新しい冒険への期待が溢れていた。
「その『ルカキュン』って呼び方やめてって毎回言ってるよね!!」ルカが顔を真っ赤にしながら抗議した。その様子を見て、俺とテックは思わず笑いを漏らした。
この4人でのパーティ結成は、予想以上に面白い展開になりそうだ。それぞれの個性が光る中で、どんな冒険が待っているのか、胸が高鳴る。「よし、じゃあ早速……」と俺が提案しかけたその時、テックが口を挟んだ。
「待て待て、まずはパーティの戦い方やパーティのリーダーを決めようじゃねぇか」テックの声には真剣さが滲んでいた。「これからの冒険のために、しっかりとした基盤を作る必要があるんだ」
ルカが少し考え込むような表情を浮かべて言った。「僕はシークがパーティリーダーに向いていると思うよ。テックのことはよくわからないけど、シークに負けたって聞いてるし。リリルはそういうので頼りにならないし……僕は……仲間を死なせたばかりだしね」彼の声には、過去の経験からくる悲しみと、新しい出発への希望が混ざっていた。
「ちょっと!?頼りにならないって言い方やめてよね」リリルが抗議の声を上げた。その目には少しの悔しさと、自分を証明したいという決意が浮かんでいた。
「頼りになるかどうかはわかんねぇけど、ルカの言うことに俺も賛成だ」テックが腕を組みながら言った。「シークがリーダーなら、俺は従う。あいつなら、きっと俺たちを正しい方向に導いてくれるはずだ」
俺は皆の意見を聞いて、少し戸惑いながらも決意を固めた。心の中で深呼吸をして、ゆっくりと口を開いた。「わかった。みんなの信頼に応えられるよう、精一杯頑張るよ。でも、重要な決定は必ず全員で相談しよう。それぞれの強みを活かせるパーティにしたいんだ。一人一人の意見を大切にして、互いに高め合えるチームにしていこう」
テックとルカは力強く頷き、リリルも少し安心したように微笑んだ。その瞬間、俺たちの間に新しい絆が生まれたような気がした。これから始まる冒険への期待と、仲間との絆を深められる喜びで、胸が熱くなるのを感じた。
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