第14話 パーティ結成
俺はリークの後ろについていくと、4人ほどの冒険者が座っているテーブル席に着いた。
緑髪の大剣を背負う男性が呆れたような顔で言う。「また、アニキが新人冒険者を連れてきたよ」
リークはそれに対して答える。「仕方ねぇさ。新人育成はギルドの評価にもつながるんだ。そうでなくてもギルドは新人をほったらかしがちだからな」
青髪の女性が返す。「立派な正義感だこと。そのせいで私たちの依頼料が定期的に減るのよね」
その対面に座る金髪の男性が、文句を言っていた二人をなだめる。「まぁいいじゃないか。何だかんだ言って、リークは戦力にならないような奴は連れてこないんだし」
黒髪の小さい男の子は、うんうんと言いたげにうなずいていた。
青髪の女性が続ける。「まぁ確かにそうね。私の名前はブルーム。槍使いで、このパーティの依頼中の食事を担当しているわ。よろしく」ブルームは黒髪の男の子の頭をポンポンしながら、「この子は私の弟。名前はクロム。このパーティのヒーラーよ。仲良くしてあげて」
緑髪の男性が続いて自己紹介した。「俺はリーフ。リークの弟だ。この大剣を使って戦う。Fランクの冒険者さ。簡単な攻撃魔法も使えるんだ。よろしく」
金髪の男性は立ち上がり、自己紹介した。「俺の名前はゴルド。このパーティのサブリーダーを務めている。リーフと同じく大剣を使うEランクの冒険者だ。元は村の防衛団にいたんだ。リークとは幼馴染みでな。よろしく頼む」
俺の横に立っているリークは、俺の背中を叩いて「お前も自己紹介しろよ」と言いながら、右手の親指を立てている。
俺は少し緊張しながらも、自己紹介を始めた。「はじめまして。僕の名前はシークと呼んでください。昨日、冒険者になったばかりです。剣術が使えます。まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします」と言って、軽く頭を下げた。パーティーのメンバーたちは温かい笑顔で俺を見つめ、歓迎の言葉を口々に述べた。
リークはパーティメンバーに向かって俺のことを詳しく説明してくれた。「昨日、こいつの適性試験を見てたんだが、あの試験でまともに戦えるってのもすげぇが、その強さもEランク、いやDランクに近いレベルがあると感じた」
リークの言葉を聞いて、パーティーメンバーたちの表情が少し変わった。ゴルドが眉を上げ、「へぇ、そりゃ興味深いな」と言った。ブルームは俺を上から下まで見渡し、「見た目は普通の新人だけど、隠れた才能があるってことね」と微笑んだ。
リークは時計を見てから言った。「今は8時半か。俺はシークと少しの間、俺らがよく使っている鍛冶屋に連れていく。お前らは少しいい感じの依頼を探しててくれ」
それに対して、ゴルドは「あいよ、んじゃ10時ごろにここで待ってるよ」と答えた。
リークは「ついて来い」と言うとギルドの外に向かっていく。俺はその後ろをゆっくりとついていった。
リークについていくと、ギルドの建物を出て、賑やかな街の通りに出た。朝早くにもかかわらず、すでに多くの人々が行き交っている。リークは慣れた様子で人混みをかき分け、「ここの鍛冶屋は腕がいいんだ。お前の剣を見せてもらおう」と言いながら、小さな路地に入っていった。
少し歩くと、路地の中をカン、カンと高い金属音が満たしていく。リークは路地の行き止まりの扉を開けて、「ここの鍛冶屋だ」と言った。
扉を開けると、熱気と金属の匂いが一気に押し寄せてきた。中には汗だくの、身長は小さいが体が大きい男性が、真っ赤に熱せられた鉄を鍛えている姿が見えた。リークは男性に向かって声をかけた。「おい、ガッツ。新人を連れてきたぞ」
ガッツと呼ばれる男性は「ガッツさんだろ。小僧」と返した。
リークは笑いながら「すまんすまん、ガッツさん」と言い、俺の方を向いて「こいつがガッツさん。この街で一番の腕を持つ鍛冶屋だ」と紹介した。ガッツさんは鍛えていた鉄を水に浸け、蒸気が上がる中で俺たちの方を向いた。「ほう、新人か。どれ、お前の剣を見せてみろ」
俺は、アイテムボックスから剣を出してガッツさんに渡した。
ガッツさんは剣を受け取ると、熟練の目で細かく観察し始めた。彼の表情は真剣そのもので、時折小さくうなずいている。しばらくして、ガッツさんは「なかなかいい剣だな。しっかりした作りだ」と言いながら、剣を軽く振ってみた。「重さもなかなかのものだな。新人、お前はこれをどれぐらいの長さ振れる?」と聞いてきた。
俺は答えた。「わからないです。自分の限界を確かめるみたいなことをしたことがないので。でも多分1時間とかそれぐらいが限度だとは思います」
ガッツさんは感心したように目を見開いた。「1時間か。それはなかなかのものだ」彼は剣を再度細かく観察し、「この剣、ちゃんと研がれてないな。リーク、お前、集合時間は何時間後ぐらいだ?」
リークはすぐに答えた。「だいたい1時間半後ぐらいだ」
ガッツさんは頷いて言った。「よし、それなら十分だ。この剣を研いでやろう。新客だ。今回は無料でやってやろう」彼は早速、剣を研ぎ始めた。
熟練の技で砥石を滑らかに動かし、刃を丁寧に研いでいく。金属が擦れる音が静かに響き、時折火花が散る。ガッツさんの集中した表情と、的確な動きに、その技術の高さが窺えた。約30分後、剣は見違えるほど輝きを増し、鋭い刃となっていた。
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