第19話
「か、仮にも婚約者がいる身で別の女性に手を出すなんてだめだと思うのよね。いい?子どもも出来ちゃうのよ?子育てって本当に大変で自分の人生も変える非常に大切なものなの。それを作る行いは簡単に行っていいものではないし、軽んじていいものではないの。自分の欲望だけでやっちゃいけないのよ?ねぇ、わかっているかしら?えぇ、だめなの。私は見たくない考えたくない、よ?そう。いや、いや、いや。アルスくんが私以外の女とな」
「騒々しい」
「ふぎゅ!?」
僕は自分の周りでまとわり付き、ぶつぶつと病みを垂れ流し続けるローズ嬢に対して魔導具を差し向け、何も喋れないようにして地面へと叩きつける。
「見て分からぬか?昼食の準備中だ。邪魔をするな」
ローズ嬢はメンヘラヤンデレタイプだ。
別に僕も鈍感ってわけじゃない。
あの危機的な状況から自分を救い出してくれた僕に対して少なくない感情を抱き、異性として好意を抱いているのは間違いないだろう。
だが、生憎と僕はローズ嬢と婚約するつもりはないい。
ヘラとの婚約が解消された後、僕が国内の勢力と婚約するのはパワーバランス並びに協力関係上あまり好ましくない。
うちの家が海外と繋がって敵対するのならば裏切るからな?という脅しの手段を持つのが最良であり、そのために僕は海外の手頃な女と婚約することになるだろう。
故にローズ嬢の気持ちは申し訳ないけど受け取れないし、だからこそ僕もローズ上に甘い態度を取る訳にはいかない。
ちなみに、ローズ嬢のヤンデレ気質に関しても彼女が僕より圧倒的に弱い状態ではあまり意味ないし、大した問題にはならない。
何度か暴走して僕を力づくで監禁しようとしたこともあったが普通に撃退した。
ローズ嬢では今のところ僕の敵にはなり得ない。
「……ほれ、出来たぞ」
生徒会室に備え付けられているキッチンで昼食を作っていた僕はフライパンを振っていた自分の手を止め、二つのお皿に料理を盛り付けていく。
「余は万物を得意とす。至高の料理が数々に歓喜するのだな」
僕は二つの料理と共に足元で転がっているローズ嬢を拾い上げ、キッチンの方から椅子とテーブルがある方へと向かう。
「よっと」
「……ッ!」
自分の手元にいたローズ嬢を席に投げて座らせ、その前に僕の作った料理を置いてやる。
そして、僕もローズ嬢の対面の席に座って自分の前に料理を置く。
今日作ったのはデミグラスオムライスだ。
「うむ」
僕は自分で作った一流の料理人にも負けない料理の出来に満足気に頷き、食べ続けるのだった。
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