第15話
百余りの魔道具たちを相手にラミリスが苦戦し、ただただ防戦一方となっている間に黒炎で一人ずつキメラとなった子どもたちを燃やし尽くしていく。
そのあとは魔導の天廻の戦闘員たちの対処をしなければならない。
ラミリスが参戦したことによって数多の魔法が飛び交う激しい戦闘となり、彼らの入る隙がなくなったせいで待ちぼうけをくらっていた連中が少しだけ残っていたのだ。
「……ッ」
魔道具によって守りを固める僕との距離をたかが一組織の平戦闘員如きが詰められるわけがない。
彼らは何も出来ずに僕の黒炎を喰らい、この世界からその肉体を消滅させていく。
「……逃げるなよ」
気配を隠し、この場から逃走しようとしていた戦闘員に対して僕は黒炎の矢をぶち込み、その命を閉ざさせる。
「これで全部かな?」
今、この場に感じられる生体反応が今なお戦い続けているラミリスと僕の魔道具によって完全に隔離されているヘラとローズ嬢だけとなったところで僕はその手を止める。
「ふむ。それではそろそろ終わるとしようか」
僕は意識を再びラミリスの方へと戻し、自分の手の平を向ける。
「……く、そッ!!!」
数多の魔道具に包囲され、何も出来ずにいるラミリスが今更僕に対して出来ることなど何もない。
そして、すべてを焼き尽くす黒炎を防ぐ術もないだろう。
「死すが良い」
僕は黒炎を発動し、ラミリスの体を呑み込んでいく。
「……ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」
それに対してラミリスは最後の足掻きだと言わんばかりに自分の命を燃やす代わりに一時的な無敵効果を得ることの出来る汎用魔法を発動する。
僕の黒炎を受けてなお、その身を完全に燃え尽きることのなかった彼女は魔道具から向けらえる多くの攻撃に目もくれずに僕の方へと一直線に迫ってくる。
「ほう?」
それに対して僕は口角を少しばかり上げ、ただの棒立ちの状態から軽く構えの姿勢を取る。
「せめて……一矢ッ!!!」
「無駄である」
一矢報いようと僕との距離を詰め、拳を振るうラミリスがであるが、今更魔導士タイプである彼女が僕に対して近接戦闘を挑んできたところで勝てるはずもない。
実に隙だらけな様相を僕のすぐ目の前で晒すラミリスの腹へと拳を一つ。
「……ぁ」
王者の器の異能により、ありとあらゆる魔法を無効化する肉体となっている僕は黒炎にすら耐えきったラミリスの最後の魔法を触れるだけで無効化してしまう。
「ッ、せ、……いの、……きがぁ…」
自分の守る魔法が消えてしまったラミリスが僕の突きを耐えきれるはずもなく、腹に大きな穴をあけた彼女はゆっくりとその体を地面へと倒す。
「存外苦戦した」
すべての敵を叩き潰し終えた僕は少し離れたところにいるヘラとローズ嬢の方へと視線を向けるのだった。
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