気になる隣国のお医者様
コンコンっとドアをノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
そして、ルナがドアに向かう。
「あら、お医者様。何の御用かしら?」
ルナが、ドアを開けながら声をかけた。
「そろそろお
「これは、これは。この度は、突然に色々お世話になって、本当に申し訳ありませんでした」
私も礼を言おうと起きあがろうとした。
「いやいや、リリィ様。そのままで」
お医者様は、そう言って私が起きあがろうするのを静止した。
「では、寝たままで失礼します。別の用事で尋ねて来られたのに申し訳ない」
私も
「これが私の仕事ですから、お気になさらずに。皇国のお医者様には、連絡取れましたかな?」
「はい。直ぐに来て下さるとの事です」
「それは何より」
「いつか、この礼をしたい。先生は隣国のどちらにお住まいなのですか? 後でお礼に参りたいのです」
と、私は尋ねた。
「えっ、えっと、それは大丈夫なんじゃないかな?」
「どうして?」
何だ?
どうして
「いや、ほら。お医者様って忙しいからお邪魔かなって。そう思うでしょう?」
「うん。忙しいのは知ってるけど、礼をするだけなのに何時間もかからないから問題ないでしょう?」
「いや、でもさ。遠いし」
何か怪しい。
「……」
私は、
「ん? な、何かな?」
と、焦る
そのやり取りをニコニコしながら見ていたお医者様は、こう言った。
「お二人とも。仲がよろしいですね」
「!」
私達二人は、恥ずかしくなって小さくなった。
「あ、いや、その。礼をしに行きたいだけなのに、
私は、慌てた。
「いや。だって、その……」
まだ、渋る
「
「あ、でも……」
と言う
「
「は、はい」
ん――?
何だ、この二人は?
「えっと。そ、そうですね。お伺いします。よし、行こう」
何かの覚悟を、うちの旦那様は決めた様だ。
「これから、ひと騒動あるのですかね?」
医者の先生は尋ねた。
「僕からは何とも。リリィは、どう思うんだい?」
「うん。覚悟しておいた方がが良いかな。堂々と帝国の暗殺組織の奴を送り込んできたんだ。失敗するとわかっていて」
「そうですか。では、こちらに来られるのは、事が片付いてからという事になりそうですね。かなり先になるのですね」
と、先生。
「ですが、そうならば、私の家内の方が先にこちらへ来るかもしれませんな」
「ええ? な、何で?」
慌てる
「だって、家内は
そう言って、意味ありげな笑顔をしながら先生は席を立った。
「では、この辺で失礼します」
「あ、門の外まで送ります。リリィちょっと良いね」
「うん。先生、お世話になりました。失礼ですが、ここで見送りさせてもらいます」
「はい。リリィ様も、お大事に」
それにしても、あのお医者様もなかなだな。
巻き添えになったというのに、慌てる様子が無い。
最前線で負傷者を治療していたのは本当の様だ。
私の傷を見ても、手早く治療した。
流石に、地元の医者から道具などは取り寄せさせたらしいが。
あのお医者様、
奥様も、ただの
(でも、家に来てくださいって言ってたか、悪いことを隠している風には思えないしなぁ)
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