第6話 相談したから。

 流架くんとらいくんが気になって、授業に集中できないまま昼休みまで時間が過ぎていった。


 らいくんのことを好きって自覚してから、流架くんと話すのは電話以外ではなかった。


 だから、どう接するべきなのか、僕は分かんない。


 快凪くんに相談しようかな。


「快凪くん、ちょっと文化祭のことで相談があるから、少し話せる?」


 僕は文化祭実行委員で快凪くんは学級委員長だから、話すことがあるんだよね。


 ついでに相談しようと思う。


「オケ。文化祭の~~」


「じゃあ、これで~~」


「こっちも~~」


「ありがと~。...後さ、個人的な相談なんだけど、らいくんはまだ流架くんのこと好きなんだろうなって思うんだよね」


 コソッと声を小さくして快凪くんに聞く。


「まあ、そうよな。雷斗はいつもより嬉しそうにしている気がするし」


「うん...。だから、流架くんが嫌いなわけじゃないのに、嫉妬しちゃうんだよ」


「あーね。まあ、お前は今日の授業全然集中していなかったしな」


 朔くんのこと見ていたのかな。


「後ろの席をわざわざ見たの?」


 からかい口調で聞く。


「バッk、ち、違うし」


「へぇ~」


「ニヤニヤすんな」


「ひっど~。...でさ、流架くんとどう接すればいいと思う?」


「まあ、お前が話しづらいなら、俺が間に入って流架と話してもいいし、話してーなら、流架のことを雷斗が好きじゃないって思って接したら?」


「無理、だよ。流架くんとは話したいよ。でも、らいくんは流架くんのことが好きってことは、認めないと。僕が、、期待しちゃう」


──期待したらダメなのに。


 僕は自分自身に言い聞かせるよう言う。


「ふーん。なら、大体は俺が間に入って、少しずつ海里が話できるようになっていけばいいんじゃね?」


「...う、うん。ありがと」


「じゃあ、俺も相談なんだけど、聞いてくれん?」


「いいよ~」


「朔は藍斗先生のことが好きなのか?」


「っ、なんで、そう思ったの?」


「朔の行動」


 快凪くんは即答した。


 だろうな。


 そうとしか思えない。


 朔くん、藍斗先生お兄ちゃんのいるときだけ起きてるし、藍斗先生の顧問の生徒会に入って、部活も藍斗先生お兄ちゃんが顧問ってだけで美術部だし。


 もっと見ていたら他にもわかるんだろう。


「...そうだよね」


「まあ、それの確証が欲しかっただけだから。気にしなくていいからな」


「そう? でも、快凪くんも僕に相談していいからね。頼りないかもしれないけど、同盟組んでるもん」


「ありがとな」


 そう言って快凪くんは席に戻った。

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