Another After
「ありがとう、どこかで!」
そう言って私は配信マイクとPCを切った。
えーと……指差し確認、ヨシ!だっけ?
おせっかいなおじさんのせいで、いらない知識を持ってしまったが、どこかでいいかなと思う自分がいる。
■◇■
Vtuberとしての私は終わった。
楽しかったし、チヤホヤされたりしたけど……何か別の場所に行きたい気がした。
PCの前で話をして、歌うだけが私じゃない。
どこかでそんな気持ちが生まれた。
後、彼氏との関係も精算したかった。
はじめは合っていたけど、結局別れた。
まぁ、その分ストレス解消とばかりに配信回数増やしたり、推しや推される方に癒してもらったり、からかったりした。
何かとコラボするのも楽しかった。
ゲームをしたり、他の配信者やプロの歌手や役者や声優の人たちとお話するのが楽しかった。
ちょっと気持ち悪いコメントを書くプロレスラーが来たときは驚いたけど、こういう人も聞いてくれるのかと思った。
……でも、さすがに悪口があるなら、もういいかなと。
評価数やコメントが途端、色あせた。
グッズが転売されたり、リサイクルショップにある時に呆然とした。
どこかで、私の悪意があるなら私はいいかなと。
そして、私は外に出る時に顔を出せなくなった。
バーチャルとしての私がテレビや街頭モニターに映れば映るほど怖くなった。
「何か似てる」
その言葉が怖くなった。
もう、やめよう。
そんな時にコラボ元より、プロレスのチケットをいただいた。久々にプロレスを見るから楽しもうと思ったら、
『しゃあああっ!!』
隣のおじさんがリングの上で吼えていた。
どこか、かっこ悪い。
足もふらふらで、相手の有名レスラーに蹴られていた。
それでも、そのおじさんは何度も立ち上がった。
内容なんて分からないけど、そのおじさんと相手が、とても痛そうなのにどこか楽しそうだった。
首を絞めたり、お互い投げ合ってるのに、また、ビンタを入れたり。
投げたり。
痛そうなのに。
……バカだなぁ。
……なのに、何で熱くなるのはなんでかなぁ。
■◇■
「歌を褒めていただきありがとうございましたっ!」
隣のおじさんは、口を開けていた。
ちょっと笑える。
ちなみに彼氏からの誘いというのは実は嘘。
変な男避けってやつかな!
後、一人でやってみたいというのもあったからね。
まぁ、Vtuberも辞めると言ったけど、使えるならやろうと思った。
でも、アメリカに渡るならそんな暇は無いかもしれない。
いつか、顔を隠さなくてもいい日がくるかも。
さて、やれる事をやりますか!
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