第16話 トラウマとの再会

朝、部屋の物の整理をしていると小学校のアルバムが押し入れから出てきた。

懐かしいなと中を見返していると、みんなのいろんな写真が載っているページがあった。

陸や昔の友達が載っていたがその中に一つ目を引く写真があった。

そこには僕と夢の中に出てきていた少女のツーショット写真があった。

写真では顔も名札もはっきり写っており、誰か確認することができた。

「この子だ、、名前は森山、、、、森山?」

そう呟くと頭の中でぐるぐると記憶が蘇ってくる。

「そういえばあの時」

僕は過去を思い出した。


小学校の頃、僕には一つ下の仲のいい友達がいた。

その子は女子だったが話が合いいつものように話していた。

卒業式の日の人がいないところでその女の子に呼ばれて

こう言われたんだ。

「あなたなんて嫌いよ、二度と近くによらないで」と

いつも一緒にいてくれた人から嫌いと言われそれが

本当に悲しくて、忘れたくて、僕はこのことを記憶の奥底において

女子が嫌いになったのだろう。

だから、その子のことも忘れてただ経験だけになったのだろう。

「あの子は、、森山あかり、、、嘘だろ、」

僕は混乱していた、

あの時、嫌いと言われたのになんで今、付き合っていて

あんなにも好意を見せるのか、僕には全くわからなかった。

朝、登校していてもそのことが頭から離れずにいた。

教室でもずっと机に突っ伏して考えていた。

それを心配したのか陸と小春が僕のところに来た。

「凪くん?大丈夫?」

「なあ、凪、大丈夫か?まさか、また夢か?」

「いいや、夢の正体がわかった」

「わかったのか、でもなんで悩んでいるんだ?」

「夢?」

「あっ小春はわからないと思うからごめんけど向こう行っててくれるか」

「うん、わかった」

そう言って小春を離れさせて陸は話を聞いてきた。

「夢に出てくる女の子の正体があかりだった」

「嘘だろ、あの女の子が森山で、それに森山って同じ小学校だったのか」

「ああ、陸には話してなかったから、そうなるよな」

「でも、あんなに嫌いって言われてたのになんで、今更付き合っているんだ?」

僕は大きなため息をついて

「それがわかれば、苦労しないよ」

「じゃあ、昼休み、会いに行ったらどうだ」

「わかった、行ってみる」

そう決意して昼休みが来るのを待った


昼休み

あかりがいつも来るのを待った。

「先輩いますか?」

「いるよ、じゃあ行こうか」

そう言っていつもの、場所へと向かった。

その場所につき、僕はあかりにど直球で聞いてみた。

「なあ、あかり、僕たち、告白される前から会ったことあるよね」

あかりを見ると目をキョロキョロさせながら返してきた。

「いっいいえ、ないですよ!私は体育祭の日に一目惚れしたんですから」

あかりは嘘をつく時の癖で髪をくるくるしていた。

「あかり、小学校のころ会っていて、仲が良かったよね」

あかりはドキッとした顔でこっちを向いて悲しそうな顔で話し始めた。

「思い出したんですね、わかりました。全て話しますね」

あかりは少し下を見ながら話し始めた。

「私は先輩のことが小学校のころからずっと好きだったんです。

でも、感情を表に出すのは怖くて、好きって伝えようとした時にも、

先輩を傷つけるようなことを言ってしまったんです」

あかりの母親が言っていたのは僕のことだったのか。

前に話していたこととやっと繋がった。

まだあかりは続ける

「その後、私はとても後悔しました。

先輩に想いを伝えられないまま。ましてや傷つけてしまったんです。

中学で私がいなかったのはこっちに引っ越したからなんです。

その後、風の噂で女子嫌いになったって聞いたときにはもう絶望でしたよ

私が先輩にあんなこと言ったからだって」

あかりは泣きながら頭を下げ始めた。

「だから私が高校生になって同じ学校にいる先輩を見つけた時、

彼女になって先輩の女子嫌いを治して、

二度と現れないようにしようって決めてたんです。

本当にごめんなさい、先輩」

それだけ言うとあかりは泣きながら去っていった。

僕は呆気に取られていた。

あかりはあの時、気持ちを伝えようとしてけど言えずに僕を傷つけてしまって、

それに責任を感じて、今、僕の女子嫌いを治そうとしてくれていた

僕はその日あかりに会おうとしたが今日は一度も会えなかった。

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