第15話 久しぶりの学校で

夏休みも終わり、学校が始まった。

朝、珍しく早く学校にきている陸に話しかけた。

「おはよう陸!今日は珍しく早いな」

「おはよう、今日から俺はお前と同じになった」

ふふふっと怪しげな笑い方をしていてとても嬉しそうだ。

「何かあったのか?」

「何かあったんですよね〜」

待っていたかのように質問に食いついてきた

「もしかして、あの小春さんと付き合えたのか?」

「that's right!」

「なぜ英語?」

「まあまあ、それにそれだけじゃないぜ」

「でも、小春さんとは遠距離恋愛になりそうだな」

また、ニコニコし始めて

「よくぞ聞いてくれた」

「えっ!何?」

「俺は小春と同棲しているのだ〜」

「えっ?!まじで!」

「ああ、まじだ!」

「でも、高校は、、まさか」

「その通り、転入してくるぜ〜」

「ここまできたら、どれだけお前、小春さんのこと好きなんだよ」

「当たり前だろ、ずっと好きでやっと付き合えるんだぜ」

そんなこと言っているが、肝心の小春さんが来ない

「ところで小春さんは?」

「なんか、付き合ってるってバレるの怖いから遅れて行くって」

「へ〜今日から初めてこの学校なのにそんなこと気にするんか」

そんなこと言っていると、教室にゾロゾロと人が入ってきた。

男子ばかりでその話の内容はある一人の生徒のことだった。

もちろん内容からして皆さんお気付きだろう。

「なあ、あの歩いていたら女子この学校にいたか?」

「いや、初めて見たよ、しかも同じ学年だろ!?あんな可愛い子が来るのか」

「これから、楽しみじゃね」

「「それな」」

と、こんな感じで噂されていた。

それを聞いていた陸は対抗心であいつは俺の彼女だ〜とか言うと

思ったがうんうんと頷いて聞いていた。

推測だが、そうだろ、可愛いだろ、と感じているのだろう。

そんなことを考えていると教室にまたゾロゾロと人が入ってきて

クラスルームの時間になった。

「じゃあ、今日はみんなに紹介したい人がいる、入ってきて〜」

扉が開きクラスの視線が一人の女子生徒に集まる。

「初めまして、有坂小春といいます。これからよろしくお願いします」

自己紹介した時、過剰表現と思われるが周りが光っているように見えた。

その後は時間もあまり転校生への質問の時間が始まった。

クラスの人は趣味など、普通の質問をしていった。

「趣味はなんですか?」

「趣味は好きなことを人と話すことなのでぜひ皆さんと話しがしたいです」

と普通の回答をしていった。

そんな中、クラスに一人はいるおちゃらけた生徒にある意味テンプレの質問が言われた。

「有坂さんには彼氏っているんですか」

流石にこの質問には答えないだろと思いつつ小春さんの方を見てみるとちょっと考えるそぶりをしてこう言い放った。

「お付き合いしている人はいますよ」

その言葉が放たれた瞬間男子の中で何かが崩れ去る音がした。

少しダメージを受けていた、その生徒はまた続ける

「ちなみに誰なんですか、僕たちが知らなかったら歳だけでいいので」

また考えるそぶりをして


「私の彼氏は、、そこに座っている、陸さんですね」


これには言われた陸もポカーンとしていて呆気に取られていた。


そんな陸に対して男子からは殺意のこもった眼差しが浴びせられていた。

その質問に答えてちょうどホームルームが終わり、自由な休み時間になった。

陸はまだポカーンとしたまま、席に座っていた。

そんな陸の元にさっき殺意の視線を送っていた男子が

ゾロゾロと集まって来て取り囲んでしまった。

「陸くんよ〜あんなに凪のことも言っていたのに

自分だけ彼女を作るとはどう言うことかな〜」

じわじわと距離を詰められる陸。

陸は今日一日中嫉妬の眼差しを受けることになった。


そんな中、僕は小春さんに話しかけられていた。

「凪くん、ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな」

「いいけど、どうかした?」

「それが〜」

そう言われ、放課後陸の家に行くことになった。


放課後

陸の家を訪ねると、小春と陸が出迎えてくれた。

「凪、やっと来たか」

「で、どんな状況なんだ」

「見たらわかるよ」

部屋に上がるとちょっと汚い部屋が広がっていた。

「これは、陸、、片付けなかったのか?」

俺はため息をつきながらも持ってきていたエプロンをつけた。

「私がきた時にはこんな感じでちょっと一人じゃ終わりそうにないから、手伝ってもらおうと思ったの」

確かにこの部屋を作った張本人には片付けは出来なさそうだし、だから僕を呼んだのか

「わかった、今から徹底的に片付けていやる」

そう言ってリビングに広がっていたゴミや衣類などをまとめて片付けて3時間程度で綺麗にすることができた。

流石に二人がかりで3時間もかかったから相当汚れていた。

「いや〜小春も凪もありがとな〜」

「これからはこんなことなくすんるんだぞ」

「大丈夫だよ、これからは私がいるんだから」

陸はもっと安心した顔をして。

「小春〜本当に助かるよ」

「うん、これから徹底的に片付けを叩き込んであげるから⭐︎」

そう聞こえた瞬間陸の顔から笑顔が消えた。

「そうだよね、陸」

「はい、、」

陸は小春に一日かけて片付けを叩き込まれたらしい。


家に帰るとちょっとだけ部屋がぐちゃっとなっていたので凪も片付けをすることに決めた。

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