第26話 温泉旅行⑤ 姉ちゃんの本音

 夕食後、俺達5人は部屋で酒を飲みまくっている。酔った澪さんと玲奈さんが玲那さんを襲い始めたが、じゃれ合ってるように見えるから様子見だ。


俺と姉ちゃんは、ちびちび飲みながらテレビやじゃれ合いを観るのだった。


―――

※今作はフィクションなので、高2から飲酒可能になっています。現実と異なるので、絶対真似しないでね☆

―――



 「あの3人騒いでるわね」

姉ちゃんが酒の缶を持ちながら、俺の隣に来た。


「そうだな」


3人の浴衣は既にはだけており、いろんな部分が丸見えだ。女慣れしてなかったら、興奮のあまり鼻血を出してるかもしれない…。


「妹ちゃん。胸大きくしたい~?」

呂律が回ってない澪さんが玲那さんに問う。


「大きくしたいです~♡」


彼女もダメそうだ。初めてにしては、大量かつ強めの酒を飲んだからな。


「だったら、私達のマッサージを受けてみて♪」

そう言って、酔ってる玲奈さんはペロペロし始める。


…モミモミとクリクリも始まったか。凄くエロい光景が広がっている。


「いや~♡ くすぐったい~♡」


「…玲那ちゃん、酔うと結構性格変わるのかな?」

姉ちゃんが刺激的な行為に対してつぶやく。


「かもな…」

彼女にとって黒歴史だと思うので、余程のことがない限り触れないでおこう。


「ねぇ貴弘。あんた酔いはどう?」


「俺か? ほろ酔いぐらいだな。何かしてほしいならやるけど?」


「たまには姉弟でゆっくり話そうと思ってね。…どう?」


「別に構わないが…」


「もう姉さん達♡ やり過ぎだよ~♡」


酔ってる3人がうるさいので、話すには向かないぞ…。


「ここじゃ無理ね。場所移すわよ」


「ああ」


俺と姉ちゃんは、3人の邪魔をしないようにこっそり部屋を出た。



 「姉ちゃん。部屋を出たはいいが、どこに行くんだ?」


「落ち着いて話すなら、人工池のところじゃない?」


「そうだな。向かうとしようか」


…人工池の周りにはベンチが2台あり、ゆっくりと近くの自然を観たり話したりできそうだ。満月が水面に映っているにもかかわらず誰もいないのは、ジンクスの信憑性がないからだな。沢田さんが言ったことは正しいようだ。


俺と姉ちゃんがベンチに腰掛けると、彼女から距離を詰めてきた。ぴったりくっつくさまは、恋人を彷彿とさせる。


「あんたを玲奈に紹介してから、色々あったわね」

思いふける姉ちゃん。


「ああ」


玲奈さんと仲良くなったことで彼女の家に行き、玲那さんと姉妹なのを知った。それから川宮さんに立ち向かったことで、玲那さんとの距離が一気に縮まったな。


それだけでも驚くのに、澪さんとも知り合えた。姉ちゃんの言う通りだ。


「貴弘が成長して、あたしは嬉しいよ。変わっていくのはちょっと寂しい気もするけどね…」


変わるか…。俺が変わったのは事実だが姉ちゃんもだろ? 良い機会だし、根掘り葉掘り訊いてしまおうか?


「姉ちゃんも変わっただろ? 前に玲奈さんが言ってたじゃないか。『〇フレの誘いを断り続けてる(19話参照)』って。どういう心境の変化なんだ?」


「…話しても良いけど、絶対誰にも言わないでよね」


「わかってる。約束するよ」


姉ちゃんは深呼吸してから語り出す。



 「きっかけはやっぱり、あの時の告白の練習よ。(17話参照)」


「あれがきっかけ…?」


姉ちゃんにハグしながら告白の練習をしたものの、“玲那さん”と言うべきところを“姉ちゃん”と言ったんだった。今思い出しても、あほらしいミスだ。


「そう。あの時のあんたの体にドキドキしたものよ。体付きが1人前の男になってたんだから…」


「……」


「前言ったよね? 澪に『弟は姉をエロい目で観てる』って言われたこと」


「ああ、聴いた」


今まではそんな事を言う人には見えなかったが、酔ったところを観て考えが変わった。もイケると宣言するぐらいだ。姉弟愛を語ってもおかしくない。


「あれ、逆パターンで本当みたい…」


逆パターンってことは『姉は弟をエロい目で観てる』になる?


「ハグと澪の言葉の影響を受けたあたしは、貴弘のことばかり考えるようになったのよ。〇フレと遊んでる最中もね。だからあんたの顔を少しでも早く・長く観るために急いで帰るようにしたの」


「そうだったのか…」


「貴弘はあたしにとって特別な存在なのよ! この旅行に誘ったのだって、一緒にいる時間を増やすためなんだから!」


特別な存在。姉ちゃんにそんな風に思われてたとは…。嬉しいことは嬉しいが、複雑でもある。俺は同じように姉ちゃんを見てないからだ。


「ちょっと重い告白だったかな? だったらこうすれば、特別になれるかも?」


そう言って、姉ちゃんは俺に軽くキスをした…。

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