Before 10 Days OR One Person's Life

第34話 何のために産まれ ~Before 10 Days OR One Person's Life~

 ~第二次小惑星群セカンドインパクトの迎撃から二年後~

 ~月詠つくよみオキナ、二十歳~


 活動服に熱量エネルギーを流し込み、防御膜バリアを展開する。

 全方向に熱量エネルギー放射した影響で、周囲に砂塵が舞う。


 地面を蹴りながら、足裏の放射量を増量する。

 足跡がクレーターのようだ。 

 地球の重力に逆らいながら、幹線道路を疾走する姿は、さながら流星っといったところか。


 瓦礫が跳ね上がり、路肩で乗り捨てられた乗用車の窓に飛び込む。

 ガラスの無い窓を通り抜けた瓦礫が、商店の中に消えていく。


 月詠つくよみオキナは横目で流れる街並みを観察する。


 暴徒の襲撃を受けただろう。

 店内の棚は倒され、商品はなくなっている。

 道路沿いにあるビルは、軒並み一階に商店が入居していたようだが、どれも似たような状態だ。


 かつて百万人以上の人口を有した都市に人影の姿はなく、繁栄の面影もない。


 前方に放射する熱量エネルギーを増加させた。

 その分、速度は落ちるが防御膜バリアの厚みは増す。

 

 無人航空機UAVから映像を取り寄せると、この先にある都市型発電施設の前で、兵士達が銃を構えている姿が脳内イメージに映った。

 土嚢とバリゲートの向こう側には、装甲車が待ち構えている。


 防御膜が銃弾と接触する。

 熱量エネルギー波によって銃弾が破壊されちりのように消える。


 最初の一発が合図だったように、銃弾が雨のように飛来する。

 破壊しきれなかった弾丸の軌道がそれて、ビルの外壁にめりこむ。


 無人航空機UAVからの映像とも照らし合わせてマズルフラッシュの位置を特定する。


 全部で十八、重機関銃は車両に搭載してある分だけだ。

 地面を強く蹴る同時に、体を脚部全体からの熱量エネルギー放射で支える。


 空中を滑空しながら熱量熱量エネルギー放射銃を構える。

 引き金を引くと、事前に充填してあった熱力熱量エネルギー波が放射される。


 防御膜バリアの様な薄く、広い熱量エネルギー波ではなく、視覚でも認識できるほど集約された熱量エネルギーの束だ。


 熱量エネルギー波は装甲車の重機関銃を貫通し、射手が後ろに仰け反る。

 そのまま熱量放射銃の銃身を斜めに降ろし、装甲車を縦に焼き切る。


 照準をバリゲートから発砲する兵士に合わせる。


 引き金いて銃身を横薙ぎする。


 隠れていた兵士をバリゲート毎、まとめて焼き殺す。


 滑空の勢いを利用して、残ったバリゲートを蹴飛ばす。

 バリゲートは背を向けて走る兵士の上半身を消し飛ばして、ビルに衝突する。


 脚の熱量エネルギー放射を一瞬だけ強めて、跳躍する。

 空中で移動に使用していた熱量エネルギー放射を停止し、抵抗を続ける装甲車の銃座目掛けて、自由落下する。


 機関銃もろとも射手を防御膜でつぶすと、装甲車の上部が防御膜の卵型に窪んだ。

 忘れずに、運転席に熱量エネルギー放射銃を向けて、引き金を引く。

 

 最初に破壊した装甲車が、爆発する。

 燃料にでも引火したのだろうか。

 

 防御膜バリアがなければ、活動服を着ていても大火傷だろう。

 無人航空機UAVから警告と同時に、映像が脳内イメージに届く。


 発電施設を囲む外壁の割れ目。

 そこから伸びる砲身が一つ。


 戦車、伏兵か。


 脳内イメージの映像で戦車を確認すると同時に防御膜バリアへの熱量エネルギー供給を増やす。

 同時に地面方向への熱量エネルギー放射を削減して、装甲車に足を付ける。

 左手を戦車の方へ向け、掌から熱量エネルギーを放射するして、防御膜バリアの層を厚くする。


 戦車の砲身が火を噴く。

 砲弾を防御膜で受け止める。

 衝撃で足が装甲車にめり込む。


 浮遊していては吹き飛ばされる心配があるが、受け止めるのも厳しい。


 足腰に力を入れながら、無人航空機UAVから対戦車ミサイルを発射する指令を送る。

 回転する砲弾を左手で押さえながら、横から右手で殴りつける。


 防御膜バリアに殴り付けられた砲弾の弾道がずれ、道沿いのビルに命中する。

 無人偵察機が放ったミサイルが戦車に命中する。


 第二射はないが、念を入れておくか。

 月詠オキナは熱量エネルギー放射銃を構えた。


 エンジン音を響かせて、戦車が通りに飛び出す。

 戦車の車体目掛けて引き金を引く。


 履帯を焼き切ると、戦車は急旋回して、反対側のビルに突っ込んだ。


 エンジン付近に数秒、照射を続けると、戦車は爆発した。

 戦車からの脱出者はいない。


 接敵して数分で、一個小隊規模の敵を殲滅した。

 悪くないペースだ。


操縦者オペレーター月詠つくよみより作戦本部。小隊規模の敵と交戦。戦車一台と装甲車二台を破壊した」

「作戦本部より操縦者オペレーター月詠つくよみ無人航空機UAVの映像で確認しています。目標の施設内に要救助者がいます。そのまま突入してください」

「了解した」


 ふと、空を見上げる。

 空はどんよりした、黒い雲が覆っている。


 今日も変わらぬ、戦場暮らし。

 そんな自分の心境を現した天気のようだ。


 第二次小惑星群セカンドインパクトで、表面上は団結する姿を見せていた連合も、今や加盟国同士の紛争が絶えない。


 人間の敵は所詮、人間と言うことか。

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