ベートーヴェン ピアノソナタ14番 「月光」と、僕と彼女。
とにかく読みやすい文章。
「月光」への、作者さんの繊細な感性で綴られた音を奏でる文章は、読み手をぐんぐんと「月光」の世界へといざなっていきます。
気づけばその旋律に心を掴まれて、感情を大きく揺すられることでしょう。
音楽を題材にした小説で、読んでいて本当に旋律が聞こえてきたという経験は、この小説が初めてです。
終盤にさしかかるにつれて、どんどんと鳥肌が立ちました。
短いので短時間で読めます。
小説で聴く「月光」の世界に、浸ってみませんか?
まず、これから読まれる方にしっかりと言っておかなければならないことがあります。
それは、ユーチューブかLINEミュージックかSpotifyを開きなさい、ということです。そして、ベートーベンの「月光」を再生し、聞きながら読みましょう。
僕はというと、紹介文を読まずにパパっと読んでしまったので、今、このレビューを書きながら読んでいます。
まず、曲について言うと、めちゃめちゃ暗い。すごい暗いんです。でも、なんか深みと、なんとも言えないんですけど、人を惹きつける力があるなぁと感じます。
そんな「月光」をテーマにしたこの作品。ライバルである男女のピアニストの「最初で最後の音楽の授業」の話。
最後の方とかすごい驚かされましたけど、僕は前半こそ深みがある、この作者さんの本領が発揮されてるなぁと感じます。
「徒然に、君想う」のレビューでも言いましたけど、この作者さんは一言一句に重みと深みがあります。それと月光は相性抜群なんです。
そして、この作品で、月光について「ピアノの泣き声」という表現をしていますが、すごいしっくりくるんですね。
また、このワードは後にもつながってきますし。
最後の一文もまた気に入りました。
それぞれの話の最後の一文にも長けておられるなぁとも思いましたね。
あ、月光が終わりました。
では、今回はこの辺で……。