401話 4人とおふろ

「ハルたん!!!」


ぼぼんと迫ってきたのはでっかいえみさん。

これくらいおっきいと逆に安心できるけども、鼻息と視線が怖い。


……ああ、これがヘンタイさんを前にした子供の感覚。


「何見せつけてるんですか……」


「一緒に風呂に入る仲ですもの!!!」

「近寄らないでください怖いです」


なるほどね、これは通報されるわけだ。

気の弱い子なら泣いちゃうよ?


あ、いや、同性なら大丈夫なのかな……僕は男だから良く分からないや。


るるさんと違って、さすがに下はタオルで隠してくれてるけど……ここまでぐいぐい来られると、男としても怖い気がする。


なんて言うか、こう……捕食されそうな感じ?


男ってさ、積極的すぎる女性は怖いんだよ?

ほら、カマキリってオスは物理的に捕食されるし?


「同性でも性的対象になっているなら……いえ、でも、今の風潮で無闇に同性愛を……」


一方で、まだ下着で居てくれてる九島さん。


充分大きいんだろうけども、えみさんと比べるとやっぱり安心できるサイズ。


たぶん頭が良くて考えすぎるから困ってるんだろうけども……大丈夫、そもそも法律的な意味で言えば僕が犯罪者だからさ。


ほら、未成年……あ、違うんだっけ、今の法律だとこの子たちも成人扱い?


……ってことは、この空間は合法……いやいや落ち着こう。


「……ハルさん、あまり、その……見ないでもらえると……」

「いえ、ここ狭いですし」


僕の視線に気がついた九島さんが困っている。


けども、君の方が脱いでるんだからね?

男の僕の前でだよ?


自分からだよ?


そこはちゃんと覚えといてね??

言うなれば見せつけてきてるんだからね??


……いや、まぁ、この子たちにとって僕はもう女の子扱いなんだろうけどさ。


しいて言えば……女の子も対象になるえみさんみたいな感じに見られてるのかな。


あ、ロリコン成分とヘンタイ成分は除くけども。


……この子たちの感覚が、余計に分からなくなってきた。


【うぅ……】

【見えない……聞こえない……】

【妄想力を行使するんだ】

【ああ、きっと今ごろみんなで酒池肉林ををををををを】

【あっ】

【草】


【ノーネームちゃんセンサーは完璧だね!】

【ああ、ハルちゃんorノーネームちゃんへのやらしい感情をネット越しに嗅ぎ取るからな】


【るるちゃんは?】

【どうだろう】

【るるちゃんの絶壁ににににににに】

【あの幼児体型がこの上なく興ふふふふふふふふ】

【どうやらそうらしい】

【体を張っての調査か】

【草】

【ノーネームちゃん……もうちょっと手心を……!】


「……あ、ちょっとハルちゃん! あ、ノーネームちゃんも逃げちゃったぁ!?」


「あれ、来てたんですか」

「きた」


3人とも、脱いだはいいけどさすがに恥ずかしくなったらしい。

それでもぞもぞしてたからこっそり脱出。


隠蔽スキルを久しぶりに使った気がする。

けども居なくなったのに気づかれたから解除。


しょうがないからすっぽんぽんになって、でもタオルときちゃない袋さんだけは持ってきて。


気がついたらノーネームさんが真横に居て。


いつもの入浴セットだ。


「2人の方が気楽ですよね」


【♥】


てとてと着いてくるノーネームさんはぴこぴこと嬉しそう。


ノーネームさんもお風呂好きだもんね。


【ハートマークだと……!?】

【ノーネームちゃん!!!!】

【何が! 一体何が起きているんだ!!】

【せめて状況説明を!】

【実況を!】


【フフン】


【!?】

【ノーネームちゃん……!】

【見損なったぞ……!】

【草】

【このセルフ百合出産幼女、誇ってやがる……!】


【いつもの子供たちの代わりにるるえみくしまさぁん……一体どんな楽園が繰り広げられているんだ……!】





「………………………………」


もみもみ。


「んっ……」

「んぅ」


もみ?


……もみもみもみもみ。


「むむうむむうむむうううう!!!」

「るるさんはあなたとは違ってもっと真剣な理由ですから静かにしていましょうね」


ぴりぴりもにゅもにゅ。


男のときはこんな感覚……いやいや、そもそも今みたいに軽くつんと出てなかったから揉むこともなくって、だから分からなかったけども。


「はっ……んっ……」


……おっぱいって揉まれると……なんか変な感じになるんだね。


こう、痒いところを絶妙にくすぐられる的な?


そんな感じ。

何か変な声出ちゃうし。


「んぅっ……」


「………………………………」


すっ。


ノーネームさんの方胸と僕の方胸に吸い付いていた手が離れる。


くすぐったさとかゆさを耐えていた僕の口から吐息が漏れる。


「………………………………」


もみ。


もみ。


その両手は、平坦な――ノーネームさんのよりも子供っぽいから、もう真正面から見ても気にならなくなってる自分のを、まさぐる。


揉めては、いない。


「………………………………負けたぁ……」


ずぅん。


るるさんが地面に吸い寄せられている。


「ぶくぶくぶくぶく……」


「るるさん、溺れますよ」

「おぼれる」


じゃばっ。


浅いお湯に顔をつけていたるるさんが、僕たちに引っ張り出される。


「……なんで……なんでハルちゃんがおっきくなっちゃったのぉ……」

「いえ、そこまで大きくはないですよ?」


「私より大きい!!!!」

「……ごめんなさい」


「わーん!!」

「なでなで」


コンプレックスを最大限に刺激されたらしいるるさん。


みんなでお風呂にじゃぶんって浸かって、すぐに僕たちのところへ来て。

で、揉みしだき始めたんだ。


で、その感覚がどうやら自分のより柔らかかったらしい。


……うん、理解はできるよ。


修学旅行とかでみんなとお風呂入って、男の象徴が明らかに負けてる相手にはしょんぼりするもんね。


僕だって男だ、同性の象徴に負けるとそりゃあ凹む。


今のるるさんは、それを――たぶん肉体年齢で下の僕たち両方に負けた形になってるんだ。


同情しないといけないんだ。


それはもう、心の底から。



◆◆◆



次の更新は火曜日からです。


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