161話 レベル1(要検証)スキルゼロ(要検証)の僕

【さて、ハルちゃんが巣作りを始めて1週間が経ちました】


【朝っぱらからインパクトを投げつけてくるのは止めろ】

【でも事実じゃん?】

【みんなおはよう】

【紳士たちが目覚めた】


【お前たち会社は? 学校は?】

【大丈夫、しっかり実況するから】

【そういうことじゃない】

【大丈夫大丈夫】

【大丈夫じゃないが】

【草】


「……………………………………」


ダンジョンの中の生活にもすっかり慣れてきた。


朝日は拝めないけども、余計な雑音がない分、生活サイクルはむしろ整ってるんだよねー。


まぁその時間があってるかは分かんないけどね。


……おっと、あとがきまで読まないと……そこまでが作者の言いたいところだから。


【あれからもう1週間か……】

【1週間24時間ハルちゃんライブ配信とか素敵すぎて気が付かなかったわ】

【なお、そのうちでハルちゃんが動いたり話すのは】

【1時間ないな】

【え? そんなにある?】

【ごめん、盛った……30分だ……】

【草】

【ま、まぁ、ハルちゃん活動量少ないし……】


【しかし、同接には多少の陰りも見えてるけど、完全に復帰した配信サイトの世界ランキングトップを維持】

【そらそうよ】

【多分この1ヶ月で1番有名人だもんな】

【世界中のダンジョン関係者と政府関係者と軍事関係者も観てるもんね】

【有名すぎる】

【強烈過ぎる世界デビュー……】

【もうとっくにデビューしてたけどな】


【それなのに平和】

【なにより平和】

【ああ……】

【世界中がかなりの緊張状態、嫌になるニュースばっかりの中、ここだけはことごとく平和だからな】

【だってハルちゃん、寝っ転がって本読んでるだけだし……】

【台風の中心がいちばん無風なんだよ?】

【それな】


【ハルちゃんがたまーにちらっと映ったり話しかけてくれるだけで生きて行けるんだ】

【もっと日常、がんばろ?】

【ハルちゃんがいない日常なんて要らない】

【そこまで!?】

【草】


【けど、本当に1日中本読んでるのねハルちゃん】

【何回か姿勢変えながら本読んで、ごはん食べてお昼寝して】

【かわいい】

【でもそれしかしてないよ?】

【不満か?】

【そんなことあるはずないだろ】


ふぅ。


「……ちょっと散歩行ってきます」


【はーい】

【いてらー】


なかなかにおもしろい小説だった。


おもしろい小説って序盤から休みなく一気に読めるから好き。

まぁ途中で2回くらい昼寝したけどね。


幼女としての体力のなさと、睡眠時間の長さが光る。

だって幼女だもん。


でも、このダンジョンに潜るときみたいな眠気じゃないんだよなー。

何だったんだろうなぁ、あれ。


【とは言っても俺たちも一緒だけどな】

【律儀にカメラ載せてくれるハルちゃん……しゅききききき】

【無茶しやがって……】

【気をつけろよ?  この配信、ノーネームちゃんがおへそ曲げたら見せてくれないよ?】


【ノーネームちゃん万歳!】

【ノーネームちゃんかわいい!】

【ノーネームちゃーん!】



【静】



【ごめんなさい】

【ゆるして】

【怒らないで】

【連れて行かないで】

【草】

【いつもの】

【ここまでテンプレ】

【この1週間のな】

【しかし、この1週間もまた濃すぎたな……】

【ああ……】





【そうして5分で終わる散歩から帰って夜まで寝てたハルちゃん】

【お子ちゃま!】

【そらまあガチ幼女だし】


「くぁぁ……」


【●REC】

【おはよう】

【ハルちゃんおはよー】

【ようやく起きたよハルちゃん】

【もう夜だよハルちゃん】

【寝過ぎだよハルちゃん】

【だってハルちゃんだよ?】


【ま、まぁ、あんな大立ち回りした直後だし……】

【直後(ノーネームちゃん?とのバトルでひと晩るるちゃんとすやすや、その後もるるちゃんだけ帰してそこから1ヶ月すやすや、それから1週間ごろごろ】


【ほ、ほら、魔力……魔力と体力使い切っただろうから……】

【まぁな、あんなのはダンジョンの何かかノーネームちゃんがしでかしたんだろうけど】


「ん――……」


くしくしと目をこすって起きる。


「?」


【あっ(心停止】

【コイツらいつも心停止してるな】

【成仏して?】

【ハルちゃんラブで戻って来るから安心しろ】

【草】


……ああ、そうだった。


ノーネームさんに「るるさんをこれ以上いじめないで」ってお願いした後真っ白になって……で、ダンジョンのどっかで目が覚めて。


配信が繋がってるかは分からないけども、配信用のカメラは動いてるからときどきつぶやいたりしながら……まずは安全そうなここで体力と魔力回復しようって思ったんだっけ。


なんだかよく寝すぎるし、話す相手が居ないからときどき時間感覚が曖昧になるし、本ばっか呼んでてときどき分かんなくなるなぁ。


「……おふぁようごじゃいましゅ……くぁぁ」


あ、なんかしゃべろうとしたらあくびが混じっちゃった。


ちょっと恥ずかしい。


【    】

【    】

【    】

【    】


【し……死んでる……!】

【そらそうよ】

【やばい、これまで耐えてきたのに……】

【ロリコン道へようこそ♥】

【ロリコンは発症したら完治しない病気だからね】

【仲間が増えたな!】

【うわぁぁぁぁぁ!】


【待て、つまりはえみちゃんの仲間なんだぞ】

【なにそれ超うれしい】

【えみお母さんはジャスティス、つまりロリコンはジャスティス】

【くしまさぁんに精神科予約されるぞ?】

【草】


さて。


「……ちょっと散歩……」


さっきも散歩したような気がするけども、まだまだぼーっとしてる。

これじゃ読書に身が入らない。


なんだか体がむずむずするし、ちょっとは歩かないとね。


【えっ】

【何で?】

【悲報・ハルちゃん、じっとしてられない】

【お子ちゃまだもん】

【意外とアクティブなハルちゃん】

【アクティブ(1日の稼働時間30分くらい】


時間は……夕方かな。

日の光がないから時間感覚が難しい。


けど、こうやって壁をロープで下りるのとかは子供のころ憧れてたなぁ。


それを20も超えてから実現してる僕っていう……。


二段ベッドとか秘密基地とか、狭い空間とか。

なんで子供ってみんなそうなるんだろうね。


【モンスターさん、いつも居ないね】

【モンスターって聞くと、このバカに広い空間が途端に怖い】

【1週間居なかったんだから大丈夫大丈夫】

【でも、万が一もあるし……】

【ああ……そこ、どこか分からないダンジョンだもんな】

【ほんとどこなのよそこ……】


【ノーネームちゃん?】

【……居ない……】

【ノーネームちゃん、最近居たり居なかったり】

【もはや全世界からのお尋ね者だもん】

【そりゃ忙しいか】


しゅたっと地面に降り立って、改めてこの部屋を見上げる。


結構な大部屋。

感覚的には中ボスとか大ボスの。


でもモンスターの気配はなくって、索敵にも――。


「……………………………………」


……うん。


これを認めたくなくって気がつかないフリしたけども。


何回も本を読んで落ち着いて、ごはん食べて寝て、お風呂入ってお酒呑んで寝ててってのを7回繰り返して、ようやく納得すべき時が来たらしい。


「……索敵スキル……ううん」


適当な石を拾って……思いっ切り投げる。


……こつん。


「うん。 これ、レベルとスキル、ダウンしてますね。 何となく気づいてましたけど」


【えっ】

【は?】

【そんなのあるぅ!?】

【……レベルドレインとか、受けてなかったよな……?】

【無かった……とは思うけど……】


【でも、俺たちのコメント見れないハルちゃんがそう言ってるってことは……】

【マジで?】

【やばくない?】

【悲報・ハルちゃん、ただのお子ちゃま】

【悲報・ハルちゃん、ただの幼女になった】


【つまりただの天使か】

【なんだ天使か】

【草】

【お前ら……こんな大切なときに……】

【だって冗談言うくらいしかできることないし……】



◆◆◆



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