第31話 ツアー御一行様 2

31 ツアー御一行様 2


「わ~っははははは。楽しいお父様だね。」桜田は空元気で何とかその場を盛り上げようとしている。


「桜田様、あからさまに落ち込まないで下さい。」

「後で飲みの場も有るので・・・今は皆と寛ぎましょう。」佐藤が声を掛けた。


「嫌だな~。落ち込んでなんか無いよ。元気印の笑顔を見てよ~。」泣きそうな顔だ。


「今日はもう・・・帰る?」


「そんなに心配しなくても、大丈夫だよ。」桜田は、最大限空元気を見せた。


「カケル君、何処行ってたの~。大豪邸で放って置かれたら、迷子になっちゃう。」

「カケル君パパって、何か凄いね。貫禄だね。」本物の元気印が来た。


「只の頑固親父だよ。」少しふて腐れて答える。


「佐藤さん、お父上に聞いたんだけど・・・私達小さい頃に会った事あるんだって。」

松井が興奮気味に言った。


「へ~。そうなんですか。」


「カケル君って、財閥なんだね。」


「カケル君じゃなくて、家がね(笑)」


やっぱり何時ものメンバーになると、賑やかになってくる。


   ***


そして晩餐 松井・小林Side


「うわ~。すっげ旨そう。コックに挨拶に行ってきま~す。」

交流とレシピ欲しさに美作が走って行った。


「うわっ、これ滅茶美味しいです。」松井が小林の方へ寄って来た。

「・・・小林さん、話があります。」声のトーンを落として松井が言った。


「何ですか?」


「私、凄い事に気が付きました。」


「・・・」


「小林さん、私記憶力が良いんです。私達、子供の頃に会ってますよ。」

「小林さん、桜田社長の家に仕える人じゃなく、佐藤さんの家に仕える人だよね。」


「私は直ぐに気が付きました。私も記憶力は良いんで・・・」

「カケル様には、内緒の方向でお願いします。」


「佐藤さんが気付いてないと思ってる?」


「うそ・・・カケル様が気付いてる?」


「佐藤さんって鈍感な人じゃないと思いますよ。」


「ん~。分りませんよ。あの人だけは未だに読めません。」


「確かにそうですね。ミステリアスだ。」


「カケル君、翔様を1人にしていても良いんですか?凹み続けますよ、あの人。」

小林は、話をそらすように佐藤に声を掛けた。


「それは、ヤバいな。ちょっと行って来る。」

佐藤は慌てて桜田の方へ、駆け寄った。






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