第214話 束縛(1)

「ルイン卿?」


「何でしょうか、女王閣下?」


「ロワール伯爵邸を取り囲んで、ネズミ一匹逃げないよう、お願いします」と。


 わたくしは外──。


 自身の部屋ではなく公共の場……。


 ルインが自身の手の者と、言った告げ方をすれば。


 まるでルインがならず者達の親分のように聞こえると言いたいところですが。


 まあ、実際は、そうなのですが。それでもわたくしは室外──。彼女が自身の兵達を連れている時は。


 ルインのことを『ルイン卿』と呼び。彼女は普通の民ではなく男爵家……。


 そう、わたくしがルインとルイス、モルゼン卿を近衛隊の隊長にしたいからと。


 陛下に頼んで爵位を授与させ男爵家に。


 そして領地は、元ルイン、ルイスが幼い頃に、両親と暮らしていたバルガート伯爵領……。


 そう、不正をしつつ、ドン宰相に取り入り手に入れていた最北の広大な伯爵領なのですが。


 国境に面していると言うこともあり。他国との内密な貿易の方も、いとも簡単にでき収益をあげることが可能なのと。


 中央から余りにも遠いいので、領民に重税をかけ、民を飢えさせても、こちらの耳に入り難いのと。




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