第211話 陛下! (7)

「はい、陛下。わかりました」と。


 わたくしは更に頭を下げ、上げれば。


 セバスの方へと視線を変え。


「セバス、陛下のことをよろしくおねがいします」と、優しく微笑みながら、自身の脳内では。


(セバス! 貴様、裏切るなよ!)、


(裏切れば、貴様の一族もろとも八つ裂きにしてやるからな!)と。


 わたくしは彼を優しく見詰めつつ、自身の脳内で怒声を吐いてやった!


 だからわたくしの顔は、陛下に『ソフィア、怖い顔をするな』と諫められたので、表情自体は緩やか、穏やかになり、笑っているのだろうと思われる?


 でもわたくしはまだセバスのことを、陛下のように信用はしてはいないから。


 自身の瞳だけは冷ややか、殺意ある瞳で、セバスを見詰め微笑むものだから。


「は、はい。女王陛下……。わたくしは、この身に変えても陛下をお守りします」と。


 セバスはまたわたくしに誓いの言葉を告げる。


 そう、自分は陛下のことを二度と裏切らない、だから信用して欲しいのだと。


 だからセバスは、自分の家族を殺さないでくださいと遠回しに告げ、嘆願をしてきたから。


 わたくしはセバスの、恐れ慄く顔を見詰めながら。


「はい、セバス……。貴方の陛下への忠誠心はよくわかりました……。今後も今の気持ちを忘れないで、わたくしの大事な陛下をお願いしますね」と。


 わたくしはセバスを射抜くように見詰めつつ、口の端だけ、ニヤリ! と微笑みながら告げではなく。


 わたくしはセバスへと強制的な下知を告げると。




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