第210話 陛下! (6)

 だから陛下の口が開き。


「ソフィア……。セバスを苛めるのはそれぐらいにしてやれ……」と。


 わたくしは夫に諫められるので。


「はい」と陛下に返事をして。


「陛下、申し訳御座いません」と。


 自身の頭を深々と下げれば。


「ソフィア……。セバスは、今はなぁ、儂に入れてくれる茶の方も。その都度。そこの大きな花瓶で泳いでいる魚達に一度与え、毒が入っていないかを調べてから、注いでくれる気遣いを見せてくれているのだから。セバスの事を、そんなに睨まないでやってくれお願いだ」と。


 陛下はセバスに対して、大変に情のある優しい言葉……。


 そう、陛下は覇道ではなく。


 まさに王道をいく、善意ある優しい皇帝陛下として振る舞ってくれるから。


 わたくしはとても嬉しいのだ。


 だって、この国! この宮殿内で悪意ある者は、わたくしとドン宰相の二人だけで十分……。


 でッ、最終的な悪者は、わたくし一人で構わない。


 そう、陛下とわたくしのお腹にいる子は、この国を王道でもって、優しく統治していけばいいと思うから。


 わたくしもそろそろ、最後の仕上げだ。


 ドン宰相親子を追い詰め、今の地位を失脚させ──。


 この宮殿内にはびこる悪を一掃──!


 わたくしは掃除をするための行為にでようと思っているから。


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