第209話 陛下! (5)

「へ、陛下~! ソフィアが来られたようなので。御二人のお邪魔になるわたくしはおいとまをしますね」と。


 セバスはひっくり返したような声を漏らしつつ、この場! この部屋を慌てて退散すると陛下に告げれば。


「……御二人の仲慎ましい触れ合いが終われば、執事室にいますから、お呼びください」と。


 陛下に微笑みながら一礼をすれば、セバスは踵を返し、わたくしと目が──!


 そう、自身の目を細めつつ、わたくしのお腹にいる子の大事なパパに、邪なことを企てていませんよね? と。


 冷たい瞳で見詰めるわたくしへとセバスは慌てて。


「お、王妃閣下……。わたくしは陛下や王妃閣下に楯突き、逆らうような事はしませんから。わたくしの事は信用してください。お願いします……」と。


 セバスの後ろに陛下がいようともお構い無しに彼は、自身の身体と声を震わせつつ。


 陛下とわたくしに、大袈裟な忠誠を誓うのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る