第157話 男の行動(2)

 そう、イモールが、数日前にわたくしとロベリアの二人にしたように。


 皇族の女性であり、陛下の妃でもあり。


 まだ立場上は、わたくしよりも上位であるミネバの許へと。


 庭師の分際で陛下の許可も無く、女王と呼ばれる女性ひとの許へと知人や友人の如く安易に近づいて片膝をつき、平服──!


 そんな様子をミネバは、相変わらず怪訝な表情で、チラリとだけ見下ろし、見詰め。


 彼女はイモールに対して、数日前のアンやわたくしのように、安易に近づいてきた、あのいやらしい男に対して、無礼極まりない! と怒声を吐く! 放つ訳でもなく。


 ミネバは小声でイモールへと。


「イモール、わらわへの話しとは、一体何ですか?」と。


 彼女は重たい口調で尋ねたらしい。


 できるだけ、周りの者達に悟られないように。


 そう、自身の唇も余り、動かさないようにしつつ。


 遠目から、自分の様子を窺っても、何を話しているのか、できるだけ悟られないようにと。


 彼女は細心の注意を払いつつ呟いたらしいのだ。




 そう! 彼女! ミネバ自身も、陛下の様子が可笑しい? 自分が浮気をしていることに、陛下は気がついているのではないか? とは。


彼女も以前から思っているみたいです。

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