第90話 容疑者の一人(15)

 この国の王と女王に逆らい、楯突けば、どのような恐ろしいことになるかの、見せしめが、どうしてもいるので。


 わたくしはヒットマンの男へとまた要望、リクエストをするのだ。


「ほら、貴方~。今度は腕の向きと、足の向きを逆にしながら。みなに踊ってさしあげなさい。この場にいる者達が喜ぶから~。さぁ、早く~」と。


 わたくしはまた、自身の両腕を上げ、奏で始める。


「ふん、ふふふ、ふん~♪」と鼻歌交じりにね。


 するとヒットマンの、男の腕と足の関節を境に、先が他所へ。


 そう、他の方向へと。


 グギ、グキ、ボキッ! と鈍い音──。


 ヒットマンの男の関節の骨が砕ける鈍い音と。


「ごぉ、おおおっ! ぐぅ、ぎゃぁ、あああっ!」と。


 男の口からあり得ない声……。


 そう、彼は最後に絶叫をあげることができたの。


 だからわたくしは不思議な出来事──。


 奇跡が起きたから。


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