第37話 小鳥のように飼われる人生……(6)

 まあ、漏れたからと言って、わたくしも一度着いた怒りの炎は収まる訳でもなく。


「あなた~、あっ! じゃ、ないですわよ。あっ! じゃ……。何、誤魔化しているの?」と。


 わたくしは自身の過去のこと。


 そう、夫に捨てられ、この幽閉棟へと連行をされ、監禁された頃のことを思い出し。


 わたくしは憎悪を含んだ顔で、陛下を睨み、苦笑を漏らしつつ、裏切り者! 誤魔化すな! と告げると。


「あなた達は、わたくしのこの病、精霊付きを。何かしらの病気と勘違いをしているのではないですか?」と、陛下に告げる。


「ん? どう言う事だソフィア?」


 わたくしの妖艶な薄ら笑いと、意味深な言葉を聞き。


 陛下の顔色は、見る見る血の気が引き、真っ青に染まっていった。


 そんな陛下が動揺しつつ、妃のわたくしへと尋ねてきた。


 だからわたくしは陛下の目線の先に、自身の腕を真っ直ぐ伸ばし、掌を握り。


 わたくしは人差し指だけ、伸ばし。


「バン!」と。


 わたくしは幼い頃のように、陛下を驚かすように、声を大きく上げる。


 ガン!


 すると小さないながらも破壊音する。


 それも部屋の壁に小さな穴──!


 覗き穴ぐらいの小さな穴が開くから。

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