第35話 小鳥のように飼われる人生……(4)

 でもわたくしはレオンと世間話はしましたが。


 彼と夫の目を盗んで、逢引きをした記憶はないので。


「あなた~。わたくしはレオンと逢引き等しておりません。ただ彼が時々、幼馴染のわたくしを尋ねてくるだけで。彼とは世間話しぐらいしかしません」


 わたくしは、まだ涙を流してはいますが。


 夫の目を真剣に見詰め。


 わたくしが言っていることは嘘偽りなく、本当のことだと。


 わたくしは態度で示してみせる。


 でも陛下は、この世界で一番……。


 そう、他界した母よりも若く、元気で美しく。


 その上、世にも奇妙な、精霊付きの耳を持つ、わたくしのことが愛おしくて仕方がない。


 そう、わたくしの夫も英雄であり、色を好む傾向がある。


 だから陛下も若い頃から美しい女性には目がなく。


 あのひとは、他国の絶世の美女と謳われた母を手に入れた。


 そしてわたくしが産まれた。


 でッ、母の死後は、彼女の面影を持つ、わたくしのことを寵愛をした。


 でも、ドン宰相の策により。


 この国一の美女と謳われた義母と結婚したのだが。


 わたくしが幼虫から蛹、成虫へと進化していく様子……。


 そう、絶世の美女を超える美しい娘へと変化していくわたくしを見て。


 あのひとはわたくしの御機嫌窺いをしつつ、許しを乞いながら舞い戻ってきた。


 ちゃんと義母を捨て、わたくしに女王座を渡す覚悟してね。

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