あなたを侵食する壮大

インモラル全開な兄妹のやり取りは、何気ない日常をすんでのところでこらえている。ほかのキャラへの描写も艶めかしく、独特の色気を醸している。

本作の恐ろしさは、そんな日常に突然、聖書のような壮大な設定たちが挟み込まれる。あるひは侵食するかのように突然降り注ぐことにあると思う。
違和感が恐怖へのあおりを手伝い、非日常の壮大さを、まざまざと見せつけられる。

だが更に踏み込むと、その非日常な壮大を、キャラ達は日常として消化している。どこか近い、知った単語が飛び出す。されど明らかにおかしいその世界に、いつしか自分も取り込まれる。

じわじわと遅効性の毒に蝕まれたい。おもしろくも、つまらなくも、トリコになってしまいたい。そんな人におすすめです。