第37話 生徒会3 & 密談1

 生徒会長の日野将吾によって、朝日奈茜に余計か知恵が授けられ、朝日奈茜がニヤリと笑う。


「成る程、なかなか上手い手を考えますね。

 さすが、切れ者の生徒会長。」


 朝日奈茜が生徒会長に拍手を送る。


「これほど、嬉しくない賛辞ははじめてですね。」


 生徒会長の顔が引き攣っている。


 とりあえず朝日奈茜が満足したようで生徒会メンバーは安堵していた。

 このまま、朝日奈茜が生徒会室から退室するものだと皆んなが思っていたが‥。


「それでは、役職を考えてくださる?」


 朝日奈茜が意地の悪い笑みを浮かべる。


 それぐらい自分で考えなさいよ!っと口に出そうとしたが、ギリギリで我慢する。

 我々は彼女には逆らえないのだ。


 ヨシ、ここは生徒会長に任せよう。


 私は生徒会長の言葉を待った。


 ‥‥‥‥‥

 え?何もないの?

 思わず生徒会長をみると、日野将吾が難しい顔をして困っていた。


 何か良い案を生徒会長が出してくれると思っていたが、無理なようだ。

 だったら副会長の私が頑張る番だ。


「写真はプロにお願いしますが、1人ぐらい生徒が入っても問題ないかも。

 あとは‥

 監視役とかはどうですか?」


 生徒会長見てますか?

 私だって偶には頑張りますよ。

 私は少しだけ勝ち誇ると生徒会長を見る。


 ニヤリ


 生徒会長が一瞬笑った。


 何が可笑しいのか意味がわからない。

 私の案に問題はないはず。


 だが、朝日奈茜の次の言葉で生徒会長が笑った意味を知る事になる。


「あら、なかなか良いじゃないですか。

 では、先生達の説得も貴女に任せますね。」


 朝日奈茜が拒否の出来ない圧をかけてくる。


 あっ、そういうこと‥。

 日野将吾には朝日奈茜が先生の説得までさせる事がわかっていたのだ。

 だからわざとアイデアを思いつかない演技をしたのだ。

 クソッ、この昼行燈が!!


 私は心の中で生徒会長に文句をいう。


 あ〜、最悪だ‥。

 こんな前代未聞な話を先生達に伝える役など、絶対にしたくなかったのに‥。


 私のテンションはこれ以上下がらないところまで落ちていた。


「さて、次の話をしますね。」


 帰り支度を始めようかと立ち上がった生徒会メンバーに朝日奈茜が声をかける。

 全員が「えっ?」って顔になっていた。


「次は、留年以外で3年生を続けられる方法を考えましょう!」


 全く意味のわからない事をいう朝日奈茜に、下校時間ギリギリまで拘束されるのであった。


*    *    *    *


 生徒会室で朝日奈茜が猛威を振るっていた頃、1年3組の教室に数名の生徒が残って話し合いを始めようとしていた。


「全員、揃ったようなので話し合いを始めます。」


 発起人である坂田十和が真剣な表情で口を開くのであった。

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