よこしまなるもの

ボウガ

第1話

 ある美人の大学生姉妹がいた。かなりの田舎の地図にもない村から東京の大学に出てきたといい美人だったのですぐにあか抜けて都会の生活になれ、友人もいるし、男子学生にも人気だった。二人は仲が良く、いつも一緒にいたのだが、ある時から様子がおかしくなる。モデルでもあり、服の個人ブランドも展開しているOBの先輩に姉のほうが入れ込み、退学。妹のほうは、姉がいなくなったせいか、なぜか男遊びが激しくなっていく。


 というのも、初めから邪な感情を抱いていたある女好きの4年生が、姉との喧嘩に付け込んで、相談にのった、そして彼女を抱いたと周囲にいいふらし、彼女を篭絡する方法を後輩たちに教えているらしいのだ。


 そして男たちは彼女と関わりをもとうと様々な人間がアタックした。そして彼女のほうも、人を選ばず、人を家にまねいた。だが、実際は奇妙な事があったという。確かに噂通り妹がアパートの一室、自分の家に男を招くのだが、そこでやることは、彼女の飼っている小動物と触れ合うだけ、ただ、奇妙なのが、その小動物に、来訪者の名前を付けて遊ぶのだそうだ。



 しかし、その後彼女の家を訪ねたことのあるある男子学生が奇妙な病気にかかる

、それは奇病で、子供が作れなくなる珍しい病だそうだ。そこまでなら、何の因果も関係ないだろうが、関連して彼女の家を訪れたことのあるものが、続々と子供を産む能力、精子をつくる能力などに問題が起き始める。これはおかしいと思ったある学生が、彼女の家を訪れた。

「君、何か僕らにしたんじゃないか」

「ええ、したわよ、でもいいじゃない、良い思いもしたんだから」

 確かに、誰もが彼女とそれなりの時間をすごしたし、あんな美人と関われただけでも満足だといっていた。だがそれとこれとは別だ。一体彼女が何をしたのか、場合によっては警察に突き出す。そう男子生徒が豪語するといった。

「ええ、いいわよ、ほら、こんな動物の死骸なんていくらでもあるから、何らかの罪に問えるなら問うてみなさいよ」

 そうして箱の中に、鼠や兎、小動物の死骸をいれたものをみせた。一瞬それだけでも恐ろしかったのだが、さらに異様だったのは、そこに人間の髪の毛がまじっていたことだった。

「あんたたちみたいな雑多な人間、利用価値なんてそれほどないのよ、私が田舎の呪いを使って、利用してあげたんだから、ありがたく思いなさい」

 そういってバタン、と強く扉がしめられた。


 呪い?と彼女の被害にあったグループの男子生徒たちは様々なつてを使って調べるのだが、どうやら彼女のいた地方では中国伝来の動物を使った呪術を使っている場所があるらしい。だが疑問だったのは、なぜ、男子生徒たちを呪ったのかということだ。


 その後、しばらくしてその疑問が明らかになった。ニュースで彼女の姉と、あのモデルOBが水死体で発見されたというニュースがあった。不審死で、原因不明。女子たちの噂によると、あの姉妹はモデルのOBの先輩を取り合って仲たがいし、はじめは妹が付き合っていたのを姉が浮気し、寝とったので怒りくるった妹が呪いをかけたのではないかという話だった。


 女子たちは冷ややかに笑う。

「あんなにわかりやすく美人で、誰からも人気があって、でもお互いが干渉しないからこそ、一度も悔しい思いをしたり苦い思いをしてこなかったのでしょう、けれど、初めて自分の直ぐ傍に天敵をみつけて、歯が立たなかった妹は、男子を出しにして呪いをかけた、騙された男子たちも、ありもしない甘い夢にだまされて人生を狂わされるなんて、ばかよね~、あんな奴ら、美人姉妹の相手にされるわけないのにね」

 それが一番の怪談だった。



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よこしまなるもの ボウガ @yumieimaru

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