陰謀
・侯爵ヴィンダー
リカルドが目覚めた。昨日の夕刻。安心した。だが、直ぐには会えなかった。
昨夜は聖女が付き添いしたそうだ。”邪魔しないように”と会えなかった。
ワシは父親だぞ!?
早朝、見に行った
「お茶を準備しますね」
そう言って聖女は出て行った。
「父上、ご心配おかけしました。申し訳ありません」
ベッドから起きようとするので”そのまま寝ておけ”といって休ませた。
「傷は痛むか?」
「大丈夫です。傷事態は大したことありません。引きずりますが、一人で歩けます。ただ、体のだるさがあります」
「そうか。3日間、毒と戦っていたのだ。ろくに食べてもいないだろう。ゆっくりと治すのだな」
「有難うございます。そうさせていただきます」
大丈夫そうだ。
リカルドは治癒の魔法が効かない。幼い頃から何度も倒れた。小さい傷でも倒れ、何日間も目を覚まさない。
”ミツバチに刺されて昏睡する”など、心配かけるにも程がある。
「姫も聖女もミーアも心配していた。かなり面倒見てもらったようだな。きちんと礼をしておけ」
そういうと、リカルドが妙な顔をして俯いた。なんだか変だな?
「どうした?何かあったか?」
「・・・」
なにがあったのだろう?聞いたほうが良いかどうかと考えていると、聖女が戻ってきた。
姫殿下、ミーアも一緒だ。
・リカルド侍女 ミーア
座ろうとするご主人様を、王女様が一喝した。
「寝ておれ!」
ご主人様のベッドの横に王女様が座り、その横に聖女様が座った。
私は簡単なテーブルを持ってきて、紅茶をお出しした。
「あらためてお礼申し上げます。愚息の命を救っていただき、なんとお礼を申し上げてよいやら。まこと有難うございます」
侯爵がそう言う。
「よい。私も助けてもらっておる。それに我々3名は好きでやっておる。時間もなかろう。堅苦しい言葉は不要じゃ。みなで話したいことがある。よいか?」
姫様の話し方が変だ。
「御意」「わかりました」「わかった。」
皆が答えます。
「それでは話そう。今回の出陣であるが、訝しいことがある」
「?」
「私は王命である。観戦武官のようなものじゃ。”戦場を見て身の振り方を考えよ”といったところかの。理屈はわかる。だがそのように第三王子側から、強く進言があったらしい」
「ウム」
「フィーナは教会の指示だろうが、フィーナ。突然ではなかったか?」
「はい。あまりに早急で、準備する暇もありませんでした。とくに消毒液が足りません。」
「消毒液?まあよい。リカルド物件じゃな。そしてリカルド。お前がここに来ていることに驚いた。お前もじゃな?」
「姫様。その通りでございます」
「ほかにも学生でありながら、ここに来たものが多い。ダンカン、ロストン、ジャン、・・・みな急に出征が決まった。理由は観戦じゃな」
・・・
「今回は勝った。だが、あの秘術があった。どうじゃ?」
「!」
侯爵様、聖女様が絶句しています。姫様、ご主人様は沈鬱なご様子です。侯爵様が口を開きました。
「姫殿下。この戦。負けると思っていた者がいる、ということですな?」
「その通りです。御父上。さらに情報を操作し、不利な陣形を整えさせる力をもった裏切り者を潜ませてます。負け戦ついで、邪魔に思える者どもの始末を考えていた、というところでしょう。お力添え願えますでしょうか?」
「当然です。姫殿下。わが愚息を救っていただきました。何なりとお申し付けください」
「よろしくお願いします。フィーナ。あなたも狙われています。気を付けてください」
「わかりました。」
「ミーア」
「はい。」
「リカルドを頼みます。」
「お任せください。」
姫様は皆をみて、満足そうに微笑まれました。
紅茶を口にされました。
「みなさん。紅茶が冷めましたよ。私は公務に戻ります。リカルド?紅茶を飲ませて差し上げましょう」
姫様は、もう一度、紅茶を口に含み、ご主人様に向かいました。
・・・
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