6月27日


体育祭は無事に終わった。


体育祭の後半は、先輩に会えるワクワクと、また先輩の不安な顔を見てしまうのではないかという焦りでほとんど覚えていなかった。






…今日は久々に先輩に会うし、コンビニでチキンとか買って行ってあげようかな。









◆◆◆








ガサガサとうるさいビニール袋を片手に、あの路地裏へと走った。



そこには、それまでと変わらず胡座をかいてぼーっとしている先輩がいる。




そう、思っていた。








自販機の横には、雑に投げ捨てられた空き缶だけが横たわっていた。




「先輩、いないんですか?」




ガサガサと鳴るビニール袋の音だけが、耳の中に反響した。








◆◆◆







ジメジメとした空気の中、しばらく先輩を待ってみた。




けど、先輩は来なかった。







…今日はたまたまいなかっただけ。

多分…そうだ。





明日はいるかもしれないし、明日もう一回行こう。







足に溜まった疲労を感じながら、オレンジ色に染まり始めた道を歩いた。

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