花は武士を憑依させる

 蚊に刺されたのです。

右のお胸を刺されたようですね。


花のお胸を吸わないでおくれよ。


出来たら腕とかにして欲しかったな~。

内出血になるのが嫌で、手でクニクニと押さえて掻くのを我慢してますです。

何だか、定期的に胸を触らないといけない病気に罹ってる人みたいで恥ずかしいのですよ。

今年は刺されなくて済んでたのに夏も終わりゆくタイミングで刺されたな~って。

最後っ屁ってやつですかね?


夏も終わって行きますね、というお話し。



 花はトボトボしょぼしょぼ歩いておりました。

お仕事終わりで疲れていたのですよ。

すると花を呼ぶ声が聞こえたです。


 「あれ?花じゃん」


顔を向けても誰か分かりませんね。


 花は言いました


 「誠に申し訳無い、其れがしと知り合いでござったか?」


 相手は続けました


 「私わたし、分からん?」


 「…もしや、はるか殿であらせるか?」


中学校の同級生でしたね。

彼女は花の知っている頃より随分と垢抜けているのですよ。


花は知っているのですよ。

これは「白ギャル」ってやつだ。


ギャル科

ギャル亜科

ギャル族

ギャル亜族

白ギャル属


白ギャルはギャルの亜種。

黒ギャルとは区分される。

その見た目は威圧行動の一種と考えられており、時に長い爪で威嚇をする事がある。

対義にオタクが存在する。


              Hanapediaより抜粋


友「そうそう正解、花は何してんの?」


花「其れがしは奉公の帰りでござる」


花「貴公はいかがされたか?」


友「私はこれから仕事だよ〜まだ時間あるけどね〜だからブラブラしてた」


花「左様か」


久しぶりに会うのだけど大して話すことも思い浮かばないのてすよ。

向こうも同樣。

寡黙系ギャル。

花にはハードル高えっすよ。


それでも直ぐに帰ろうとしないのは、人が好きなのだからでしょうね。

それは花にも分かるのです。


 ぽつりぽつりと会話をする中で


「でも夏がもうすぐ終わるからマジ嫌なんだけど」


と彼女が言いました。

花は冬が特別に嫌いなだけで、後の季節には特段思うことはないのですよ。

ですので聞いたです。


「貴公は何故なにゆえそれ程までに過ぎゆく夏をうれいておられるか?」


友「えーだってフェスとかイベントとかめっちゃ楽しいじゃん」


 花は思いました


 「うへぇ〜おっかねぇ~」


だってきっとあれですよ。

水着を着ている若者たちにホースで水をぶっ掛けたり泡をぶっ掛けたして、音に合わせて踊らせるやつですよ。

それでどさくさに紛れておっぱいとか触られるやつだ。

おっかねぇ。


いやいや夏フェスって普通の音楽イベントのことだろ?

って思われるかもしれませんね。


でも花は知っているのですよ。

アフターパーティーって言ってお酒を飲んでべろんべろんになった男女が暗闇に消えて行くんですよね!

やっぱりおっかねぇ。


眼の前の生き物は陽キャってやつなのですよ。

パリピってやつなのです。

花みたいな人種をおかずに、ファミレスで四時間くらい喋れるんですよ。

やっぱりおっかねぇ。


 花は会話の一つとして聞きました


 「貴公の奉公先はどちらであられるか?」


どうやら夜の蝶をやっているそうなのですよ。

これからお仕事なのも納得なのです。


 花は思いました


 「うへぇ〜おっかねぇ~」


だってあれなのですよ。

酔っ払ったおじさま達にお尻をぺろ~んってされちゃうやつなのですよ。

それを笑って許してあげなきゃイケないのです。

おっかねぇ。


花は頑張れと思いながら彼女を見送りました。

そして

ギャル=怖い生き物

になった出来事を思い出しました。


花が中学一年生の鼻タレだった時の事です。

すぐ近くに地元で有名な不良高校がありました。


花は一人でトボトボ帰宅路を歩いておりました。

そして、歩行者で一度に数台しか曲がれず帰宅ラッシュ時には大渋滞になる交差点に差し掛かりましたですよ。


すると三人のギャル女子高生が目に入りました。

彼女達は渋滞にハマっている一台の車をターゲットに絞り、駅まで乗せろとヒッチハイクをしている様でしたよ。

その方法がなんとも恐ろしかったのですよ。


ZeebraさんのMR.DYNAMITE

って歌を車に向かって歌うというものだったのですよ。

しかもきちんとパート分けされてましたね。


当然、当時の花はそんな歌を知るはずも無く。


ラップするギャル。

困ってるおじさん運転手。

歌い続けるギャル。

とりあえず無視して前を見るおじさん。

歌い続けるギャル。

やめないギャル。

助手席を片付け出すおじさん。

歌い続けるギャル。

折れて車に乗せるおじさん。

ウェ~イなギャル。


 その光景を見て花は心から


 「ギャルっておっかねぇ!」


 と思ったのですよ。


ちなみに花の姉が地元じゃ有名なヤンキーだったのは、全く関係の無いお話し。

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