第100話 復活の儀式

 皇宮に連れて込まれたリリアンは少しだけ抵抗を見せるが、ルシファーは無理やりリリアンを連れていく。


「ちゃんと歩きやがれ!!」


「引っ張らないで!!!痛い!!」


 リリアンの体を縛る鎖はルシファーと繋がっているようで、うまく引きはがせない。今は精霊もいないため、ルシファーを振り解くほどの力は持っていない。

 地下室のような場所に連れていかれると中にはたくさんの人が十字架に縛られて光の結晶体が奪われ続けている。


「なによ、これ」


「ここが、儀式の場所さ。まぁ、俺が召喚された場所を改造して作っただけだがな」


「あの人達は、何されているの…?」


「魔力を奪っているだけさ。この儀式には大量の魔力が必要だからな」


「魔力を奪ってる?!そんなことをすればその人達が死んでしまうのに!!」


「関係ない、人間なんて死んでいい生き物だ!」


 無理やり連れて行かれるリリアンは十字架に掲げられているカーラと目が合う。屍のようになってしまったカーラにリリアンはルシファーが許せなく思う。そして、ここにいるほとんどの人が、行方不明になった貴族だと言うことがわかる。

 連れられたリリアンは棺のような箱に目がいく。その箱からはかすかに瘴気が漏れ出している。あれが前の黒魔女であり厄災だとリリアンは確信する。


「さてと、そろそろ儀式を始めよう。魔塔主を捕まえられなかったことには残念だったけどな」


 リリアンを魔法陣の真ん中に寝かせると瞬時に魔法陣が光り出す。ルシファーは呪文を唱えていると黒い手のようなものがリリアンを掴むとリリアン・ネルベレーテと北条莉里亜ほうじょうりりあは引き剥がれてる。

 莉里亜は深い水底に連れて行かれる。自分の姿が死んだあの時と同じ制服を着ており、今度こそ自分が死んだことを確信してしまう。


『ー龍鬼たつきっっっっっ!!!!!ー』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 森の中を駆け下りるランウェルたちは黒龍の雄叫びを聞き、今の自分達に危険が迫っているのがよく分かる。


「どこまで降りるつもりだ!!!」


「このまま一番下まで降りる!!!!死にたくなければ走れ!!!!」


 森から抜けると帝都には大量の生きる屍アンデットが発生している。タツキは刀を持ち、生きる屍アンデットたちを切断していく。ハンスは氷魔法で動きを封じる。


「どれだけいるんだよ!!!!」


「どうせこの帝都中の人々だろうね。これで黒魔女っていうやつが復活したら…」


『そりゃあ、あかんやろ!!!!おいらたち死ぬやん!!!』


「うおっ!!!カリウルかよ!!」


『ガクドはんお久やな!』


 黒風で生きる屍アンデットを切断するカリウルだが、やつらはまだまだ湧いてくる。落ち着ける場所を作らなければいけないというのに、この数ではそれはできない。


「こんなの、どうすれば!!!」


 ガクドは疲れで体勢を崩してしまうと、生きる屍アンデットたちはガクドを狙う。ガクドは自分の死を覚悟するとその生きる屍アンデットたちに黒い棒が突き刺さる。その瞬間やつらは黒炎にその身を焼かれ、息絶えていく。

 上空からヒリリトンが降りてくるとやつらに突き刺さっている黒い棒を抜いていく。


「ヒリリトンさん?!」


「やぁ、間一髪だったね」


「それは…??」


「こいつは、僕が作った魔法陣を刻印した代物さ。大昔に起きた戦争の道具だよ」


「戦争の道具って、変なもの持っていますね…」


「ところで、公女様は??」


 ヒリリトンの問にガクドは黙ると、分かれてしまったランウェルたちと合流する。ステロンはやってくるとヒリリトンに伝える。


「公女様は連れ攫われた。おいらたちが居たのに…」


「お前、ステロンかよ。わからんよ!!!」


「そいつはすまない」


「では今公女様はどこに??」


「わからないのよ。突然のことだったから、居場所を見つけられないのよ」


 高いところに居た水華すいかもといアスモは地上に降り立つとタツキは何かを感じ取ったような反応を見せる。目線の先には皇宮がある方向。タツキは息を荒くさせながら見つめていると、ランウェルは奥歯を噛みしめる。


「公女の気配が、消えた!!」


「莉里亜…!!!!」


 タツキは思わず走り出すが、生きる屍アンデットたちが、道を塞ぐ。タツキは妖刀でやつらを殺しまくる。


「どけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」


「タツキ!!!!俺から離れるな!!!!!命令だ!!!!!」


 ランウェルはタツキに命令するが止まる様子がない。ランウェルは契約印でタツキの動きを止めようとするが、その静止も効果無し。


「あのバカ!!!」


「しょうがないと思うよ〜〜これも愛の力というのかな???」


「ランベル、お前どうした???」


「おっさんのような言い方じゃのう…」


「お前らよりは若いと思うけどな…!」


 ランベルはため息をつくと姿を金色の龍に変わりタツキを連れて皇宮へ向かう。それを見てハンスとガクドはランベルに飛び乗り、そのまま皇宮に向かう。


『お前ら…!!!落ちるなよ????!!!!』


「もちろんだ!!!リリィがどうなったのかを見ておきたいんだ!!!!」


「リリアンちゃんは、俺らの娘なんだ!!!一緒に行かせてもらう!!!」

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